2017-09

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「Moon King」で花見の様子を書く…つもりだった。

こんにちは(或いはこんばんは)。
奥貫阿Qです。

ここ最近、晴れたり雨が降ったりと、気候が安定しない日が続きますが、とうとう春の行事がやってきましたね~。
川辺や公園が賑やかになる、あの行事。

「お花見」です!

花粉症で出不精な上、近所に桜があちこち咲いている場所にいる私は、窓辺から花を愛でるだけで、花見には行きませんでした。
田舎町に住むものの利点といえば利点ですね(苦笑)

しかし、せっかくの花見のシーズンです。
何もせずに過ごすのもつまらんなぁ、と思い、小説で花見の風景を書いてみることにしました!

しました…んですが(汗)

ストックしてたネタと、ギャグ中心に書いてしまったため、花見だか何だか分からない、しかもオチもない、凄まじい話ができてしまいました(哀)

故にこの話、最初こそ花見らしい描写がありますが、あとは花見とは無関係の、グダグダでしかありません。

それでも見るぜ!という心優しい方!
残り少ない桜を惜しみつつ、自警団のきゃつらのバカ騒ぎに付き合ってやってくださいませ。

それでは、作者はこの辺で!
また来週お会いしましょう。

            ◆

「シューター」
(by ミハエル)

「投げろー!」
「お前当たったろー!外野行けよー!」

寒さが和らいできた春先、公園から、子供達の元気な声が聞こえてくる。
「無邪気だねー。」
「ああ。昼間から遊び回れるっていいよな。子供時代の特権だよ。」
そう言う私達も、昼間っから私服で弁当持って、公園をウロウロしている。
お前ら仕事は?って思うかもしれないが、今日はこれが仕事なんだ。
今日は、新年会と私とアイの入団祝いも兼ねた、この国の春の風習、「花見」をやることになってたのだ。
「にしても、一週間前から花見の場所取りするって張り切ってた、我らが副団長はどこまで行ったんだか…。弁当作ってる時はまだいたのに、今は全然姿が見えない。」
「期待するべきではないと思うよ。何せ、あのアイ博士と一緒に場所取りする計画を練ってたらしいから。」
「え?そうだったのか?」
初耳だった。キリはともかくアイまで…。ロクなことにならなさそうな組み合わせだ。
っていうか、アイよ。一週間前から姿を消すのなら、事前に言っておいてくれ。おかげで私、大変な目に遭ったんだぞ。
「そうだよ。今朝消えたキリさんはともかく、アイ博士なんかもうその一週間前から見かけないよ。」
「いよいよ怪しいな。…まったく。二人に会い次第、文句言ってやる。アイに至っては、一発パンチ入れてやる。」
「ぱ、パンチ?キミ達、何かあったのかい?」
「なきゃそんなこと言わないさ。」
そんなことを言い合っていると、一週間前、キリに場所取りを頼んだカザミ随一大きな桜である、「雨月桜」のところに来ていた。なんでも、この国の有名な文人が、自分の好きな小説の名前をこの桜に名付けたことで、この桜が有名になったらしい。
「ここだよね。」
「ああ。でも…」
何かがおかしかった。
桜の下に、異様に人が多く集まっているのだ。
いや、桜の下に人が集まること自体はおかしくない。今は花見の季節だから。
おかしいのは、花見をする連中が、全員立って花見をしていることだ。しかもなぜか、全員桜の花ではなく、桜の根元に注目している。
「どうしよう。もう嫌な予感しかしないよ…。」
「ま、まあ、あの人集りの正体を見極めてから、不安がってもいいんじゃないかな…。」
私も内心不安になってきていたが、ここでタタラ踏んでる訳にもいかない。恐る恐る桜に近づき、人集りの隙間から、人々が見ているものを伺い見た。
そこにいたのは、髪はボサボサ、ボロボロの薄汚れた白いスプリングコートを羽織った男性だった。
行き倒れ感満載のこの男は、茣蓙の上に倒れ伏し、ピクリとも動かない。
それだけでも十分にびっくりする光景なのだが、私達二人には、更に驚くことがあった。

「あ、アイ博士。」

アヤトがポツリとつぶやく声が、やけにハッキリ聞こえた。
そういうことなのだ。
ここに倒れ伏している男は、一週間前から姿を見せなかったアイだったのだ。スプリングコートに見えたのは、彼の白衣だ。彼以外、外出の際にも白衣を着ていく変人は見たことがない。
それに気付いた時、一瞬、頭が真っ白になった。
「アイッ!どうした!?」
人集りを掻き分け、私はアイに駆け寄った。後から慌ててアヤトもついてきた。何があったのかは知らないが、アイがこうまでボロボロになっているのは異常だ。
こいつのことだ、何かヤバい事件に首突っ込んでこんな姿になったのではないか。軍部時代からの付き合いから、私はそう考えてしまった。
「アイ!起きろッ!」
ゆさゆさと奴をゆすぶり、懸命に起こそうとする。
だけど、目覚めない。
「ミカ、アイ博士どうなってるの…。」
「分からない。グッスリ眠り込んでるのは確かだけど。」
あまりにひどいアイの有様に戸惑う私達。
「誰か、事情を知ってる奴がいればいいんだけどな…。」
私がポソリと呟いた、その時だった。

「二人共遅いー!」

人集りの後ろの方から、今朝から行方知れずになっていた、副団長…もとい、キリの声が聞こえてきた。
びっくりして振り返ると、そこには、アイと同じくらいにボロボロになったキリが立っていた。
「キリさん!?」
「キリ!一体どこ行ってたんだ!?」
私達二人がほぼ同時に質問をぶつけると、キリは「ちょっとね」とだけ言うと、「ちょっとゴメンねー」とか「どいてちょうだいねー」とか言いながら人集りを押しのけて、私達の方へとやって来た。
そして、アイを一瞥するなり、ため息をついた。
「あーあ、情けない。あれしきの運動で、もうグロッキーでやんの。」
「運動?」
「グロッキーって…どういうことです?」
事情を知らない私達は、二人して首を傾げた。
そんな私達を見て、キリは胸を張って言う。

「子供達とのドッチボール!」

「「…は?」」



キョトンとした私達を見て、キリは説明を始めた。
ことの起こりは今朝のこと。弁当が出来上がるのを待っていられなかったキリは、一人雨月桜へと向かった。
「一週間前、私達二人で話し合った結果、アイが場所取りを引き受けてくれてね。無事に場所が取れたかどうかが気になってさ。」
「それは分かります。それは分かりますが、その流れからなぜ、子供達とのドッチボールになったんです?」
「うーん、それがさあ…。」
アイは無事に場所取りの任務を全うしていた。それは当然だ。なぜなら彼は、姿を消した一週間前からずっと、ここで食うものも食わず、場所を守っていたのだから。
「だからあいつ、一週間も姿が見えなかったのか…。」
「そゆこと。」
で。その結果、アイは見るも無残な姿に変わり果て、終いには力尽きて茣蓙の上に倒れた。
それを発見したのがキリだった。
彼女はアイのため、早くも花見を始めていた連中を回り弁当を分けてもらった。
「そしたら、ある家族のお子さんと意気投合してしまってねー。その子とボール遊びしてたら他の子もどんどん集まってきちゃって。で、仕方なくドッチボール大会をして、子供らの面倒を見ていたってわけ。」
「えー…。」
無駄に壮大な話だった。
つまり、あれか?始めはアイのために弁当たかってたら、いつの間にかこんな感じになったわけ?
こんなピタゴラスイッチみたいな上手い流れ、あるんだろうか。
しかし、私とはまた違った風に、今の話を受け取った人物がいた。
アヤトだ。
彼は眉をひそめ、さっきからキリの満足げな笑顔と、ボロボロの服を注目していた。
そして、言いにくそうに口を開いた。
「キリさん…。あなたの服のボロボロ具合から察するに、随分楽しまれたようですね。」
「うん!年甲斐もなくエキサイトしちゃったー♪」
「それはよかったですね…。しかし、アイ博士のこの様子から察するに…」
「え?もちろん彼にもドッチボールに参加してもらったよ。私一人じゃ、あれだけの人数、面倒見きれない。」
やっぱりそうなのか。いくら一週間ここにいたとはいえ、このボロボロ具合はおかしいと思った。
「そうですか…。では、つかぬことをお伺いしますが…」
「?」

「そのドッチボール、アイ博士がご飯を食べ終わってから、参加させましたか?」

「…あー…。」

アイ …哀れだ。



「ふがっ!ふがっ!」
すっかり忘れ去られていた食事が、ようやくアイの前に現れた。分けてもらった弁当と私達が持ってきた弁当で、食品はかなりの量になっていた。が、一週間ほぼ絶食時の男にとっては、それさえも苦になる量ではなかったようだ。普段は少食で食べるのも遅いアイだが、今はがっつくようにして、普段の倍近い量を食べている。
「災難だったな~、アイ。」
「まったくだ。ったく、メシ取りに行ってくれたと思ったら、それ食いきらないうちにドッチボールだもんな。嫌になっちまうぜ。」
ふがふがとメシをかっ込みつつ、アイは喋る(「がふがふ」と表現するにはあまりにもノロい食い方だから「ふがふが」)。それにしても、これ程食うほど、腹が減ってたんだなあ。絶食の末、子供達の世話を兼ねたドッチボールに参加させるとは…キリの奴、鬼だ。
「しょうがないじゃん。全然食べ物の量が減ってないから、絶食続きで食べたくないと思ったんだよ。だからいっそ、運動させて食の通りをよくしようと…」
「アホかアンタ。」
「ンな!?上司の思いやりを、アホかだとお!?」
「思いやりの心は汲めますが、発想がアホですよ。これじゃまるで、山伏か仙人になるための修行みたいじゃないですか。最悪、即身仏になっちゃいますよ。」
「アヤトまで!?」
確かに、アホな所業ではある。
しかし、しかしだ。

「二人とも、まだまだ浅いな。」

今まで黙っていた私が喋り出したことで、アヤトとアイ、そして、二人にいいように言われていたキリが、私の方を見る。
「ん?」
「え?」
「ミカ、何が言いたいの?」
三人の言葉を聞き、私はキリを指差し、ハッキリ言ってやった。
「今までキリがやらかしたバカ騒動を忘れたか?あれはどう考えても、キリが考えなしに動いたために起きた事件だったろ。」
「ああ。」
「だね。」
「えー?」
キリ以外の全員が賛同した。

「だったら、あれらの事件を教訓にして、キリがどんな人物か、さっさと悟るべきだ。どんなアホなことをされそうになっても、『ああ、キリはこういう奴だったな』と気付いて、事前に手を打つべきだろ。そうすれば、酷い事件は未然に防げる。」

「おお!」
「ミカ冴えてるー!」

アヤトとアイが同時に言った。
我ながら上手いことを言ったのが嬉しく、思わずニンマリとする。
だが。

「ちょっと待ったーッ!」

この満場一致の回答に、一人だけ異を唱えた者がいた。
そう、我らが副団長。キリその人である。
「何だいエラそうに!さっきから黙って聞いてりゃいい気になりやがって!大体私は、そこまでダメな上司じゃないッ!」
「いや、ダメだろ。」
「右に同じく。」
「ウグッ…!と、とにかく!ここまで悪言雑言言われたら黙ってられない!ミーナ、血糖だ!」
「それを言うなら『決闘』だろ…。でもまあ、いいよ。ギャフンと言わせてやる。」
「見くびんな!漫画じゃあるまいし、生の人間がギャフンとなんか言うもんかい!」
「そういう意味で言ったんじゃあないよ。で?何で決闘する。」
「それは、場所、準備に手間のかからないものでさ!それ即ち…」

「ここでいうドッチボールにあたる!」

「またドッチボールぅ!?」
アイのゲンナリした声が、花見の席に響き渡った。


(by アヤト)

「では!自警団花見杯、『ダメ上司はどっち!?ドッチボール決勝戦』を始めますっ!」
 
 アイさんがご飯を食べ終わった後、僕達四人は、さっきまでキリさんと子供達がドッチボールをしていた広場にやってきた。
 異様にやる気満々なのは、もちろん、言い出しっぺのキリさんだ。広場の隅にうっちゃられてた(バスケット)ボールを高々と掲げ、表情もキラキラしている。
 それにひきかえ、
「なぜバスケットボール…。」
「ていうかミハエルの奴、俺らよりも偉かったのか?初耳だぜ。」
僕ら部下達は、やる気がすこぶるない。
そりゃそうだ。本来なら今日は、飲んで食べてのーんびりとし午後を過ごすはずだったのだから。それが、キリさんの気まぐれでオジャンになっちまって、みんな不機嫌だ。特に、運動が嫌いで自警団内随一ののんべであるアイさんは、かなりぶすっとした表情で、コート内に突っ立ってる。ミカに至っては、ずっと沈黙を続けているし…。
何だろ。ミカ、怒ってるのかな。
「うるさいの!やるったらやるの!っていうか、ミカが上司ってのはニュアンスで言ってみただけだから!」
キリさんは、僕らの意見を聞く気なんて、はなっからないらしい。
もとより、一度言ったら聞かない、わがままな人なんだ。この人は。
僕らもそれを承知だから、逆らいはしない。ただ、納得がいかないから愚痴を言ってただけさ。
「ハイハイ。」
「ガキ副団長…。」
沈黙を続けるミカを除き、僕とアイさんだけが返事をした。
そしてそのままキリさんの指示で、二つのグループに分かれる。
たった四人でやるドッチボールなので、一チーム二人で対戦することになる。片方はキリさんとアイさんの成人組、もう片方は僕とミカの未成年組で組まれた。
アイさんとミカの軍部出身組を分けることで、両チームの戦力を均等にしたつもりなんだろうか…。
「面倒なので、ジャンプボールはナシ!私がボールを投げることで、試合を始めたいと思います!」
「えー!?そんなわがままな!」
「だまらっしゃい!これは副団長命令だ!」
んな不条理な、と言うなかれ。これがキリさんだ。
「ルールも遠慮も無用!どういう理由であれ、当たったものから順に外へ出ること!外野なしのサドンデスで行くぞ!」
縦割り社会の暗黙のルールに従い、僕らは逆らうつもりは毛頭ない。
毛頭ないから。
「それっ!始めーっ!」

ブンッ!

ちびっちゃい体に似合わず、キリさんはかなりのスピードの攻撃を仕掛けてきやがった。
奥の方に立っているミカにではなく、前の方でスタンバっていた僕の顔面に向かって、ボールが飛んでくる。手近な奴から片そうという魂胆だろう。
だけど。

ガシッ!

「へっ?」

僕は右手で、ガッシリとボールを掴んだ。
バスケットボールだけど、強い力でとったせいか、グニャリと形を変える。
「ひえええっ!古びちゃいるけど、空気がパンパンに入ったバスケットボールがぁ!」
グググッと指に力を込めつつキリさんを見ると、僕はニッと微笑んだ。
「キリさん。先程、『ルールも遠慮も無用』、とおっしゃいましたよね?」
「へ?…言った、けど?」
「ですよね…。じゃ、遠慮なくいきます。保険証の準備はできてますか?」
「え、ええっ!?ちょっと待って!ほら、副団長には少し遠慮しなくちゃ!給料減給とか、怖くないの!?」
「僕には修理屋の収入もありますんでッ!!」

ギュンッ!

キリさんの数倍はあるであろう速度で、ボールは向こうのチームへと飛んでいく。
アイさんには、キリさんを庇うは毛頭ないらしく、地べたに座ってそっぽ向いて、イヤホンで音楽を聞き始めている。
「ちょっ、アイさん!?助けてよ!」
「ヤダ。」
もとよりこの人らには、結束力なんてほとんど見られたことはない。
そのままボールは真っ直ぐ進んでいき…

どいんっ!

逃げ出そうと後ろを向いた、キリさんの尻を強かに打った。
「~~~~~~~ッ!いってええええええええっ!(涙)」
相当痛かったんだろう。キリさんは尻を押さえて涙目になり、そのまま地面に崩れ落ちた。
「ばかぁ!あんなに思いっきり投げるなんて!尻が割れたらどうすんの!?」
「安心してください。元から割れてますから。」
「例えだよっ!ていうか、例えでなくても、骨盤は割れそうな剛速球だったじゃんかぁ!」
しかし、それでもルールはルールだった。
キリさんはメソメソしながらも這っていき、外野へと出た。自分で決めたものとはいえ、一度決まったルールを守るのは、キリさんのいいところだ。
「んもうー!まさかアヤトにぶつけられるなんて!おかげでミーナに攻撃できなかった!」
「負けは負けです。あきらめなさい。」
僕がそう言って諭すと、キリさんはぷうっと頬を膨らませ、そっぽを向いてしまった。
うーん、このまま機嫌悪いままじゃあ、あとでチビチビと仕返しをされそうだな。
ここいらで、機嫌直してもらうか。
「機嫌直してください。」
「ぶぅ!」
「あとで大好物のプリンおごるんで。」
「まじで!?」
そっぽ向いてた顔がこちらを向き、その顔はパアァっと輝いている。
チョロイな。我が上司。
キリさんにヘラリと笑い返すと、僕は相手コートに目を戻した。
無理やり始められたゲームだが、途中でやめては、またキリさんが機嫌を損ねてしまう。
「…おまたせしました、アイ博士。ボールはそっち側いったんで、投げてください。」
イヤホンしてるけど聞こえるかな…。キリさん同様そっぽを向いていた顔が、こちらを  向く。いつの間にか、休む気全開でいたのだろう。口にはタバコらしきものを咥え(アイさん曰く、これは自分用に作った薬らしい。いかにもってくらい怪しい)、外したイヤホンからはポル○グラフティの「アゲハ蝶」が大音量で響く。こんな大音量で、よく僕の声に気が付いたな。
「投げりゃいいのか?」
「そうです。」
明らかにやる気がなさそうな声で返事をすると、ゴソゴソと白衣のポケットを探った。
…何をしてるんだろう。
「…アヤト、場所代われ。」
僕がアイさんの行動をじいっと見ていると、今まで黙っていたミカが、口を開いた。
「お前がいるとこは危ないから。場所代わってくれ。」
「?…うん。」
よく分からないけど、僕がいる場所は危ないらしい。
軍部にて、様々な危険を潜り抜けてきた(しかもアイさんの部下だった)猛者が言うのだから、信じよう。
僕はその場所をミカに譲った。
その途端、

ドゴンッ!

「?」

ドッチボールの試合には聞こえるはずもない、大音量が響き渡る。
それと同時に、何か黒い物体がこっちのコートへ飛んできた。
…ねえ、これ、聞き間違いでないならさ。普通の広場では聞けない音だよね。むしろ軍施設くらいでしか聞けない種類の音だよね。
そう思っていると、頭が真っ白になりかけている僕の目の前で、ボカッ!と言う音を響かせ、ミカが、飛んできた「何か」をブッ飛ばすのが見えた。
元軍人とはいえ、生身の娘に、あの物体を弾き飛ばすだけの力はないように思えた。
そう思ってよく見てみると…なるほど。ミカの奴、いつの間にか金属バットを構えていた。無事だったのはいいんだけど…彼女、一体どこからそんなもんを取り出したんだろう。

「ほー。さっすがミカ坊。非常時に対する心構えが違うねえ。」

呑気にそんなことを言うのは、多分…多分だけど、今の黒い物体を発射したアイさんだ。
この人の手には、いつの間にかロケットランチャーに似た銃が抱えられてる。
よくよくそれを見てみると、銃口の中にチラッと、バスケットボール特有のオレンジ色が見えた。
まさかと思うけど、こっからボール発射した?っていうか、ミカもそうだけど、この人もどっからそんなもん出したのさ。
ポケットか?さっき一生懸命探ってたポケットからなのか?
「アイよ…そりゃあボールを投げるんじゃなくて、発射するってんじゃないのか?明らかにルール違反だろ。」
「ルール無用、と、副団長殿は言ってたぜ?」
そりゃ確かにそう言ったけどさ、「自重」って言葉知らないのかな。
見なよ。外野に追いやられたキリさん、涙目になって腰抜かしてるじゃねえか。
「まあ、もとよりあんたがルールを守るわけはないって思ってたけど。…ちょうどいいや。」
「?なにがちょうどいいんだ?」
…恐ろしい。アイさんだけではなく、ミカまで怪しげな雰囲気になってきた。
手にしたバットを肩に担ぎ、アイさんを睨みつけている。
「アイ…。今から一週間前、一緒に猟に行くって約束、したろ。」
「ああ…。でもあれ、お前ひとりで何とかなる相手だろ?」
「普段だったらな…。でも何であの時に限ってお前を誘ったか。その理由忘れた?」
「んー…。」
何とか言えよ、アイさん。雲行きがかなり怪しくなってきちゃっただろ。
「分かんない。」
「そうか…。じゃ、教えてやる。」

「猟に行く数日前、お前の実験に使われたライフルがことごとく使用できない状態になってたからなんだよね。」

「…あ。」
思い当たる節があったらしい。
しかしその実験がなんなのかは…聞かないでおこう。
「しかも、かろうじて生き残ってたライフルや小銃の類では太刀打ちできる相手ではなし。しかしこっちも頼まれて狩ることになってた相手だ。みすみす逃すわけにはいかない。そして奇しくも勝利を収めたのだが…。」

「鎖骨折ったんだよね。」

「いっ!?」
アイさんの顔から血の気が引いた。
そりゃそうだろう。
自分が約束すっぽかしたせいで、友達が怪我したんだから。
「私はキリよりも、お前の方が憎い…。」
「や、待て!話せばわかる!」
「聞く耳持たねえ!」

「うぎゃーーーーーーーッ」!」

…それからの泥沼試合は、筆舌に尽くしがたい情景だったので、語るのは難しい。
しかし、ただただ一方的な暴力的擬音と、『アタッ○No.1』も真っ青になるほど、バッシンバッシンとボールの音が響き渡るドッチボールなんて、ドッチボールと呼べるのかね。
とにかく僕らが今言うべきことは、ただ一つだ。

「ドッチボール禁止!禁止ったら禁止!」
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