2017-11

「Children’s day」その③

こんにちは(或いはこんばんは)
奥貫阿Qです。

もう今週も終わりに近づいてきてしまいましたが、ようやく書き上げましたよ第三話(泣)
遅くなってスイマセン。

さっそく今週の話をば…といいたいところですが、ここで少しお知らせを。

実はこの三話、思いのほか長く作ってしまいまして、どうも今回一度に話を収めるには長すぎるようなのです(汗)
よって、来週もう一話をあげ、それでようやく完結。作者のお休みへ…と、流れが変更になりました。

引っ張って引っ張った挙句、こんな調子で申し訳ない(哀)
完結まで、あと一週間待ってください。
できれば短編も仕上げてきますから(自分で自分の首絞めてますね…)!

では、お待たせしました。
ようやくですが、今週のお話をお楽しみください。

できれば、また来週もいらしてくださいね~…。



「Children’s day」その③

「何で!何で山賊がこんなところに!?」
「おおかたこの屋敷に貴金属があると踏んだんだろう。でも、ここにあったのはほとんどあの家具だけ。あいつら、家具の価値が分かっているなら、家具を持ち出す算段でもしてたんじゃないかな」
「そんなこと言われたってえ(泣)!」

そう。そんなことを言われても、事実は不明。しかも山賊が追ってくることに変わりはないのだ。
他地域ではどうなのかは知らないが、この付近に出る山賊はタチが悪い。強盗などの犯罪だけでは飽き足らず、酷い時には子供を攫い、どこぞのブローカーに売り付けてしまうことだってあった。それほど凶悪な存在なのだ。
キリ達ですら、その被害を蒙らないとは言い切れない。ここはぜひ、一刻も早く逃げる手段を考えていただきたい。

「ミーナが」
「えっ!?私!?」
「そうでしょうよ。だってこんなピンチに作戦思いつきそうな人ったら、ミーナくらいのもんでしょ!」

こんな事態だというのに、自分に、自身自身の命すら丸投げしてしまおうとするキリに、ミハエルな呆れるのを通り越して、まず驚いてしまった。

「買い被り過ぎだと思う…」
「またまたぁ」

こんな時ですら、キリはおどける。笑ってすらいた。恐らく本気で「ミーナなら何とかしてくれるよ!」とか思っているに違いない。
でなきゃこんな危機に、笑みなんか浮かべられる訳がない。

(何だってこうも、人に丸々自分を託そうとできるかね)

自分を守るのは自分のみ。そして常に、命と命は真剣勝負。
猟師の子として戦ってきたミハエルにとっては、キリのその行動の仕方が、よく分からなかった。

(でも、キリが思いつかないなら、私が頑張らなきゃだもんなぁ)

悲壮なガッツを胸に、ミハエルは頑張って、ない知恵を絞ってみる。

(さて。出口は入ってくる時に通ったた、あのデカい蝶番のみ。で、多分その蝶番は、山賊どもの背後にあるな…。参った。さっさとこの屋敷から出たいのに、出られないじゃん)

しかも、相手は大人なのだ。いくらミハエルが鍛えようが、キリがイタズラのお仕置きで打たれ強くなっていようが、子供である彼女達が太刀打ちできる相手ではない。

(仕方ない。危ないけど、私が相手の気を引いて、その隙にキリには空き部屋に逃げてもらおう)

で、キリよりも体力がある自分は、適当に山賊を巻いて、やはりどこかに隠れてしまう。そうした上で、ほとぼりが冷めた頃に、各々屋敷を出て行くしかなさそうだった。

「ねえキリ」

たった今思いついた提案をキリに告げようとした、その時だった。

ゴゴゴゴ…

漫画であれば、そんな効果音があしらわれそうだ。
そんな嫌な予感しかさせない音が、キリ達の足元から聞こえてきている。

「ちょっ…。これ何なん!?地震!?」
「らしいな。しかもかなり大きい!」

いや。実際は地下室で、あの男が爆破スイッチを押しただけなのだが。もちろんそんなことは、彼女らは知る由もない。

「どうしよう!?」
「どうしようって、どうにかするしかないでしょ!まずは山賊から逃げ切るんだって!」
「うん…。でもここ、脇道とか部屋が全くなさそうなんだけど…」
「は?」

キリに言われて、ミハエルは周りを確認してみた。

(…マジかよ)

しくじった。

今、彼女達が走っている廊下には、本当に部屋が一個もないのだ。

(何で部屋がないんだよ!こんな変な構造の建物、見たことがない!)

部屋がないのには、恐らく何らかの理由はあるのだろう。あるのだろうが、今の状況から言って、この構造は最悪と言わざるを得ない。

(ヤバイ。本当にヤバイ。選ぶ道を間違えたんだ)

後ろには、凶器を持った山賊がいる。なのに、逃げ場がない。

(ヤバイ、ヤバイ。どうしよう…!)

助かりたいのに、助からないかもしれない。
そんな最悪の事態が背後から迫る。
助からない場合でも、とりあえず冷静になっていれば助かることだってあった。それくらい、ミハエルでも分かっているのだが、落ち着こうとすればするほど、緊張で胸が苦しくなる。

緊張し過ぎて、思わず泣きそうになった。
この状況は本当に…

「ヤバくない?」
「…」

ミハエルが泣く寸前、キリが先に言葉を言った。それも、「夏休みの宿題終わんない。ヤバイ」くらいの意味合いで。
(余談であるが、キリは夏休みの宿題を仕上げたことがない。八月末まで呑気に呑気にサボり倒した挙句、結局、切羽詰って取り掛かる前に諦めてしまうからだ。多分、最初からやるつもりなど全くない)

キリのこの能天気な発言は、偶然にも、緊張で頭が真っ白になりかけたミハエルを呼び戻した。この言葉、面と向かって言われてしまうとカチンとなるが、同時に、少しだけ気が抜けざるを得ない。

「んなこと分かってるよ…」

自然と口から軽口が出た。
すっかり自分の気持ちが落ち着いたことを、ミハエルはこの時知った。気がつけば、頭も元通り冴えている。

(よし。まだ負けるわけじゃなさそうだ)

大人相手では、体力でも知力でも子供は劣る。それでも、命懸けの勝負となったら、負けてはいけないのだ。勝てはしなくても、負けることだけはいけない。

(かなり不利だけど、何とか逃げ切るぞ)

ミハエルは再び闘志を燃やした。
すると、冴えた頭に、何か引っかかるもの…いや、何か引っかかる「音」があることに気がついた。

「…ん?」

不気味な地鳴りが響きわたる中、ミハエルはある異変に気がついた。
今まで走っていた道とは、何だか聞こえてくる音が違う気がするのだ。

「ここって…」
「ミーナ何してんの!地震は続いてるし、山賊まで追ってきてんだよ!?」
「いや、そうなんだけどさ…」

ミハエルはもう一度、耳を澄ましてみる。
間違いない。確かに音が違う。

「キリ、地震と山賊、どっちが怖い?」
「何さいきなり!?」

キリの文句も最もだった。気がつけば、先程までの妙にトボけた顔は引っ込み、再び焦った顔になっている。
ミハエルは、その焦り顏に向かって声を抑え、だが鋭く言った。

「この下、地下室があるみたいだ。さっきから妙に、廊下に私らの足音が響く」
「マジっすか!?」

キリが驚いたような口調で言う。
しかし、ミハエルの勘が正しければ十中八九そうなのだ。地下が空洞ならば、足音が反響してよく響く。足元が人工物であるなら尚更だ。そして、この廊下に部屋がないのは、もしかしたら、地下にある空間を隠したいからか。

そして、その地下空間は、今も健在しており、何か動きがあるようだった。

「これはマジだよ。多分、地鳴りもそこから起きてる」

「え…。つまり、それって…」
「そうだよ」

息が切れてきたので、喉がカラカラになっていた。粘つく唾液を無理に飲み込み、ミハエルは言葉を言う。

「私らには外に出る術はない。地鳴りがあるから、地下室に逃げたら多分潰される。でも逃げなきゃ山賊の餌食。だったらキリはどうしたい?」

いつも以上にまじめな気持ちになって、キリにそう訊いた。これは命を左右する問題だから、まじめに答えてほしい。
そう思って訊いてみたのだが。

「地下室に逃げたい!」
「…」

バカにあっさりと即答された。

「その方が恩分な死を迎えられそうじゃない?」
「……」

しかも、かなりマイナス思考だった。
だがそうは言っても、できることならミハエルは生きていたかった。というか、少なくとも死にたいとは思えなかった。

喋りつつも、彼女達は足を止めない。
そうやって走り続けたおかげだろうか。窓がなく、光源は背後から迫る山賊どものランプだけの世界に、ふいに現れたものがあった。
廊下に、不自然に埃が積もってない場所があった。それも、人一人がやっと潜れるくらいの幅がある。

(あれだ)

最近人が出入りした痕跡があるのは不安だが、あれは確かに地下室があるという証拠だった。
キリもミハエルと同じものを見つけたようで、その顔に驚きと安堵を混ぜこぜにした表情を浮かべる。

だがキリには一つ、気になることがある。

「ねえ。地下室に逃げるっつっても、追ってくる山賊から一時的に逃げる術はあるの?」

珍しいキリのまともな質問に、ハエルはニヤリと笑った。
そして無言で、ズボンの左ポケットを指差した。

(あ、なるほど)

ミハエルのこの仕草だけで、キリは納得した。
実はミハエルの上着ないし、ズボンの左ポケットには、よくこけおどし程度の爆弾があった。この爆弾、破壊力こそこけおどし程度だが、発せられる煙と爆発音は凄まじい。特に爆発音は、爆弾のスター格にあるダイナマイトといい勝負なのではないか、と、キリは思っている。ダイナマイトなんて、見たことないが。
しかもこの爆弾、どういう仕組みなのかは知らないが、地面に叩きつけるだけで爆発するらしい。父親が猟に使うというそれをくすねては、いつでも使えるように常に隠し持っているゆえ、ミハエルもキリ同様、近所では悪ガキ扱いされているのだった。

キリも納得の一品を複数個、ミハエルは素早く取り出した。
キリは大急ぎでミハエルの背後へと回る。爆発の餌食になるのを防ぐためである。

それを見届けるや否や、ミハエルは爆薬をぶんなげて、勢いよく地面に叩きつけた。

ドッドーーーーーンッ!!

着弾した途端、爆薬は大爆発を起こした。あまりの音の大きさに、耳はキーンとなり、天井からはパラパラと埃がおちてくる。当然のことながら、今まで室内で爆発させたことなどないため、ミハエル達も、予想外の爆音にビビった。特にミハエルは、この場にイヤーパッドがないことを恨めしく思っていた。

だが、ビビろうが何だろうが、彼女達の反応は早かった。
爆弾に慣れていないらしい相手は、酷い煙と音に肝を潰しているらしく、その隙に彼女らは、地下室への入り口を開けていたのだ。
最初にミハエル、次にキリの順に、入り口へと素早く入っていく。
入り口は、まるで闇が凝(こご)ったかのように暗かった。最後に入ったキリが扉を閉めると、見えるものは闇一色となり、山賊とは違う意味で怖かった。




(地下室、実験台にて)

「んん?」

白衣の男は、火薬の爆発の威力が小さかったため、その調整をしている真っ最中だった。
だが今、ふいに上から聞こえてきた爆発音に気がつき、思わず実験の手を止めた。

「んだよ。ドンパチかぁ?できれば余所でやって欲しいね」

誰に言うわけでもないが、思わずそんな愚痴を言う。

せっかく自分は実験の準備をしているのだから、邪魔しないでほしい。

そういいたげな顔をしている。

が、今この男にとって肝心なのは、今回の実験を成功させることだった。別に給料をもらってやっているようなことではない(つまり、完全に趣味)が、成功すれば嬉しいし、時と場合によっては金になる。

何せ、今行っている実験は、生物を模した存在を、この場で創り出そうとしているのだから。
ロボットなんてもんじゃない。
人工物質で模して創り出したそれは、ちゃんと細胞も持っている。その上、機械のようにカスタマイズが可能だ。
素晴らしいことである。

(こんなに生産性のある趣味は、果たして他にあるだろうか)

男はまた笑った。
とにかく、上で何が起きようが、自分と、自分の実験に被害を及ぼさない限り、テコでも動かないつもりのようだ。

すると。

『…かな』
『多分…マズイなあ…』

「?」

何やら、上から声が聞こえてきた。それも、男が普段出入りしている、地下室の入り口らしき穴の方から。

「何だァ?あのウィスパーボイス。喋りたいことがあるなら、堂々と話せや…」

男が整った眉をひそめた、その時だった。

「うわあああ!」

ウィスパーとは対局な、いかにも活きの良さそうな声が、地下室に響いた。
声の感じからしたら、まだ子供か…。

そう思っていたら。

ボスンッ! ドサッ!

人が二人降ってきた。どちらも子供で、格好から判断すれば、少年だろう。だが、妙に全身の線が細い気もするから、もしかしたら少女かもしれない。

「のおおぉ…ッ!」

奇妙な二人組の片割れが、低く呻いた。緑色の目をしているそいつは、こちらの視線に一向に気がつかない。ただしきりに腰をさすっているところを見ると、多分、思いっきり床に打ったのだ。こいつは、受身が全くできていなかったはずだから。

「イテエ…。おい、無事か?」

 恐らく緑の目のガキにそう訊いているのは、そのガキと一緒に落っこちてきたガキだった。緑目のガキとは違い、受け身が完璧過ぎるくらい完璧にできていたため、全く平気そうな顔をしている。

(大したもんだねえ。天井から床まで、高さ五メートル近くもあるのに…)

面白いくらいの身体能力に、男は笑った。
研究意欲を起こした時によく浮かべる、嫌な笑みだった。

「おおっ?」

そのガキ(驚異の身体能力の方)が、男の存在に気が付いた。と、同時に、緑目のガキも、男がいることに気が付く。

「…あ、ドモ」

緑目のガキは、気まずそうに頭を下げた。
突然の珍客だったが、男はただ、無言を保ったままニヤニヤ笑うだけだった。

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