2017-09

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ハスの花③

こんにちは(或いはこんばんは)!
奥貫阿Qです。

だんだんと台風が近づいておりますが、皆さん大丈夫ですか?
明日は学校は休校が多いらしいですが、保育園や会社はそうはいかないところが多いところが多いかと存じます。
お出かけになられる方は、十分注意して出かけてくださいね(汗)

因みに私こと阿Qは、台風云々よりも、季節外れの風邪がつらくなっとります…。
夜になり、薬も効いて元気になったため、なんとか週末中にブログ更新できましたよ~。
…安静にしてろって?だってコンクールがないときは週一更新でやっているのに、今週だけ更新しないってのはモヤッとするじゃないですか(←バカ)

まあ、ブログ更新する元気があるので、明日にはケロッと治っていることでしょう。
元気になり次第、やることやりますとも!
あと、台風対策…。

みなさんも、明日は無理しないでくださいね~!

では、今週の話をどうぞ!
インテリジェントキリさんいます。



「ハスの花」③

「この国の地下には、無数の洞窟があると言います。専門家ではないので正確な数は知りませんが、国土の殆どに地下洞窟が走っているという意見もあります」
「国土の殆ど!」
「ええ。賛否両論ある意見ですが、私個人は、その意見はまんざら嘘ではないと思いますよ」
「え?どうして?」

キリは小首を傾げた。国土の殆どに地下洞窟がある、なんてことは容易に信じられなかった。レンに入国して以降、キリは外で雪と僅かな数の人間しか見ていない。中には情報を得るために会話した人間もいる。もし国土の殆どに地下洞窟があるとしたら、出会った人々がどこかで落盤事故が起きただのの話をしてくれてもおかしくないのではないか。
キリが素直に質問すると、兄は、キリが来た時期はまだまだ早く、これが秋も深まれば落盤事故の噂が聞こえるようになるという。

「でも、落とし穴を掘っただけで落盤が起こるじゃないの」
「それは、さっきいた場所だけですよ。でなければ、この国に人は住めません」

兄が苦笑しながら答えた。
あの場所は特別地盤が薄いことで有名で、冬は穴だらけになるそうだ。

「その話を知らなかった子供の頃、私はあそこでよく、獲物を獲るために落とし穴を掘りました。寒さゆえ人力では不可能なので、機械も使って。が、その成果は微々たるものなんです。落とし穴の数は多いんですよ?餌もしかけています。なのに成果が出ないのは、あなたに言いかけたように、獲物が落ちた途端に穴が勝手に深くなって下の洞窟と繋がってしまうからなんです」
「ははあ、それがさっき私が落ちた…」
「ええ。なので、せっかく獲った獲物が下に落ちてしまい、時には行方不明になることは珍しくありません。今では滅多にあの場所に行くことはありませんが、今日まで季節外れのブリザードが酷くて。あまり遠くに罠をしかけてられなかったのです。まさかこんな日に人が落ちるとは思いませんでした。…すみません」
「いいよ。道を急ぐんで吹雪の中を歩いてた私も悪いんだし」

キリは朗らかに微笑んで手を振る。
が、兄の表情はキリとは違い、逆に険しいものとなった。
理由は分からない上、そんな必要も全然ないのだが、何だか笑っていることが悪いような気がしてキリは笑顔を引っ込めた。よく見れば、妹さんまで顔がこわばっているじゃないか。

「…お嬢さん。話は変わりますが…あなたは『鬼』を信じますか?」
「私の名前は『キリ』ですよ」

いつまでも「お嬢さん」と呼ばれるのも嫌なので、キリはこの際思い切って名乗ってしまった。

「しっかし、唐突な質問ですなぁ。…『鬼』?」
 「はい。このレンは、元々仏教にゆかりのある国だったんですよ。純粋な仏教ではなく、土着の宗教とのちゃんぽんですが。…で、お嬢さん、いやキリさん。あなたは信じますか?」
 「うーん…。『鬼』のように怖い人間ならば知っていますが…。本物の『鬼』はどうかと言われると、信じられませんね。見たことありませんもん」

 キリの脳裏には小学生時代の思い出が浮かんでいた。地下の実験室で変な液体を操っていた男。突然村に襲来した山賊でもあり人攫いでもある一団。村から離れて住み、深い山の中で猟師の修業をしていた幼馴染…。
 この誰も彼もが、人間離れした怖さを持っていた。

 「それに、ユバナの国教は仏教ではない…というよりも、これといった国教らしきものはありませんでしたし。うちは仏教にも少しだけ関わりがありましたが、幼馴染の家はキリスト教に縁がありました。そのせいか私、そんなに『鬼』のことについて詳しくないんですよねぇ」
 「そうでしたか…」

 そういうと兄は、『鬼』のことについて詳しく説明をしだした。
 『鬼』というのは、基本的に疫病や災厄を招くもの、つまり人間に害をなす存在であるということ。姿形はさまざまなものではあるが、大体頭に角が生えた人型を取っているものが有名であるということ。住む場所は異界、離島、あるいは人里離れた山であったりするということなど。

「先史時代には『節分』という鬼を払う行事がありましたしね。もっとも節分は仏教よりも陰陽道というものの儀式が元らしいのですが」
「へー」

期待してた割に、大した内容じゃあないな…密かにキリはそう思っていた。
鬼に詳しくない、というのは事実である。彼女は仏教にさほど馴染みがある訳ではない上に、宗教や文化の専門家ではないからだ。
だが、実は今の話は、修理屋の弟子としてやっていた頃にすでに得ていた知識だったの
だ。
こう見えてもキリは、一応師から免許皆伝をいただいた一人前の修理屋だ。工芸品の修理等を行うために、先の時代の宗教の基本事項は知っている。
今のところ、師から教わったことと、

(それに確か、文明が滅ぶ前の鬼って、仏教だけに関係がある訳でもないんじゃなかったかな。この国もそうらしいけど)

自分で調べた最低限の知識以上のことは、全く知らないが。

「でも、ここには異界、離島、あるいは人里離れた山なんてないっしょ。思い当たる場所はあるけどさ」
「お察しがいいですね。…あなたの予想しているのは、我が国のこの地下洞窟のことでしょう?」
「ウン」

ここで黙っている必要もないので、キリは頷いた。
キリが理解していると見え、兄も彼女に頷き返す。

「まさにその通りなのです。我が国の地下洞窟は通称『地獄』と呼ばれています。その地獄には時々、子供が現れることがあるんですよ。地上から地下に落っこちた子供ももちろんですが、それ以外に、元から地下にいる子供達もいるんです」
「…もしかして、地上で行方不明になった子供が、そのまま地下に住み続けたとか?」
「どうもそうらしいです」

都市伝説めいた話だが、あながち否定できない話だ、とキリは思っていた。
現に自分だって地下に落ちたのだから。
この兄がいなければ、きっと今でも地下洞窟をさまよっていたに違いない。

「言い伝えでは、その子供達は地下で、鉱物でできた家具を作って生活をしていると言います。その鉱物は地下に眠る黄金とも言われますし、得体のしれない鉱物だともいいます。その子供達は、自分達の間に生まれた子供を『光る床』に寝かせて育てるらしいのですが、ここからが奇妙な話で…」

兄はここまで一気に喋ると、茶を飲み、一息ついた。
キリとは違いこの言い伝えについて、何か思うことがあるらしい。

「この『光る床』に寝た赤ん坊は、『空間を移動できる』らしいのです。どこにでも自分の好きなところへ行き、もし地上の人に出会った時はその人に自分の存在に気付かせ、育ててもらうのだとか。…地上の人間に、災厄をもたらすために」
「…何よそれ。災厄ったって、どんな災厄なの?」

まさかこの男、キリが今胸に抱いている赤ん坊が突然現れたのを、見たのではないか。
一瞬そう思ったものの、兄の様子からしてそれはないかな、と、キリは改めて思い直した。
見ているはずなら、出会ってすぐに赤ん坊に向ける視線が疑いの色に染まっていてもいいからだ。
もっとも、災厄だのなんだのと言われたからって、キリはか弱い赤ん坊を手放す気はなかったが。
もうすでに「光る床」や瞬間移動と思しき出来事にはぶちあたっているが、まだそれだけのことだ。
それに。

(大人の都合で痛い目を見るのって、いつでも子供だものね)

キリはそれを痛感した、元「子供」だった。

「災厄とは、主に疫病や外部からやってきた人間との争いですね。それゆえに地下からやってきた赤ん坊のことを、我々は『鬼』と言ってるんですよ。その子が鬼かどうかは分かりませんが、あなたの『突然現れた』という言葉に引っかかったので、お話ししたまでです。…現に我が国では、鬼を連れて帰ってしまったがために、争いに発展したケースがありますし」
「なるほど」

それって多分、地下に住んでる「鬼」の親が、子供が行方不明になったことに嘆いた上、地上に子供がいることを知って激怒して殴りこんできたんじゃないのかなぁ…。と、頭の中でつぶやくキリ。もしそうだとしたら、きっと双方の話し合いが上手くいかなかったに違いない。
歴史なんて、立場一つで変わってしまうことくらい、彼女は分かっていた。だてに国の終わりを見届けたわけではない。
だが、それゆえ逆に思うこともある。

(私、このお兄さんの言い分も分かるんだよなぁ)

ユバナもレン同様、人通りも少なく貧しい、閉鎖した国だった。
自分の身を守るため、人々は噂や過去の災厄をもとに勝手な言い伝えをでっち上げ、「自分達は悪くない」と、争いの原因に蓋をして生きてきた。
例えば、ユバナの山奥にあるという「魔人伝説」。
美しい男が人を攫うという、これもほぼ都市伝説のような話だった。実際人が攫われるという事件が頻発していた地域らしいが、ユバナの山奥ではありえる話だ。ユバナは山に近ければ近いほど、山賊や人攫いが頻発する国なのだから。
山の、しかも田舎でこのような事件が起こる。被害に遭う地域は少なくなく、その上人が攫われても犯人は不明である。そのため、中々自警団も助けてくれない。何も手を打てないから、また人攫いが起きる。……酷い悪循環だった。
人々は、誰も助けてくれない、被害に怯える現実が怖くて、現実から目を逸らしたのかもしれない。空想上で、「人では倒せない相手」をこさえて、現状に納得しようとしていたのかもしれない。
次に、ユバナ全土で有名となった「遺跡伝説」。
昔からある噂だが、これはぶっちゃけ言って、隣国のカザミの豊かさにあやかりたかっただけの奴らが作った噂なのだと思う。カザミが遺跡発掘をきっかけに一気に科学が発展したのを見込み、
「遺跡には先の時代の宝や技術が眠っている」
という宣言を、まさかの軍上層部が発した。そりゃあ国が発展するための新しい技術のヒントになることくらいはあるだろうが、「宝」というのは盛り過ぎだ。もう先の文明が滅んで数前年が経っているのだ。その宝とやらはきっと、遺跡の奥で錆びつき、一円の価値もなくなっていることだろう。
だが、軍隊は止まらなかった。あてのない希望のみを信じ、軍のほとんどの部隊を遺跡発掘につぎ込んだ。首都周辺は平和なのをいいことに、「ユバナ軍最強」と謳われたスナイパー部隊も動員して、である。なぜスナイパーが必要なのかは分からないが…多分、遺跡までの兵士の護衛として連れて行ったのだろう。スナイパー部隊は確か、身寄りのない孤児か、傭兵ばかりでつくった使い捨て部隊だったというのを知っている。小間使いという身分を利用して、潜り込んできたのだから。

このこっ酷い出来事の数々が積み重なり、ユバナは消えた。だが、こんなしょうもない出来事を招いた噂話が生まれた原因は、それもこれも、国が貧し過ぎたためである。国が閉鎖し過ぎたためである。
八方ふさがりになった国と人々は、苦肉の策として、こんなことをしでかした。

(生活、厳しいんだろなぁ)

レンの環境を見れば分かる、悲しい現実だった。
だけど、どうしようもないことではあるが…。その手前勝手な言い伝えのせいでいらない争いを生むことだってある。それにこの兄は気が付くべきだと思った。それでユバナは滅んだのだから。
…いちいち言いはしないが。

「鬼は生後一か月で成人し、災厄をばらまくと言います。お気を付けて」
「うん」

一応返事をしたものの、キリは上の空で聞き流していた。
もしその噂が本当で、この子が災厄の元だというのなら始末しよう。
だけど自分の意見の方が正しい場合…その時は、この子の親に謹んでお返ししたいと思う。
 だが、気になることが一つだけある。

それまで一体、誰がこの子の面倒を見るというのか。
 この子を恐れるだけの国に、この子の味方はいるのか。

 「ねえお兄さん、今までこの国で、迷子ないし、鬼の面倒を見たって人はいるの?」
 「いいえ」

 きっぱりと言い切られてしまった。
 つまり、つまり。

  「…つまり、この国ではこの子を育てようと思う人はいないんだ?」
「恐らくは」

キリは、嫌にきっぱりと言い切った兄の目を見た。
「恐らくは」とか言いつつ、兄の眼差しは真剣だ。無論、彼も引き取る気はなさそうだった。
対して、兄を見返すキリの目は、静かなものだった。

「…なるほどねえ」

ため息のような言葉を吐き出し、キリは一回瞬きする。
考えなくても分かることだった。
偶然にも悪い言い伝えと酷似した出会い方をしてしまったこの赤ん坊。言い伝えを知らず、不用意に赤ん坊との出会いを語ってしまった自分。
もしこのまま赤ん坊をおいてこの国を出てしまったら、この子はどうなるのだろう。どこもかしこもフニャフニャなこの子には、まだ自分の身を守る術はない。
キリは何となしに 頬を突こうとしたら、指を掴まれていた。
見捨てるかもわからない奴の手に触れるなんて… 弱いんだか力強いんだか、分かりゃしない。
だが、いい度胸してる。

「…じゃ、私がこの子の面倒を見たいな…」

キリは無意識のうちに、そんなことを呟いていた。

「ね、ダメかな」

兄にではない。
その目は赤ん坊に向いていた。
まだ喋れるほど大きくなっていない赤ん坊は、今はただご機嫌に手足をバタバタさせていた。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://ti2958.blog.fc2.com/tb.php/121-04e60c6e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

«  | ホーム |  »

プロフィール

奥貫阿Q

Author:奥貫阿Q
ツイッターで小説更新の宣伝、写真等の掲載も行っております。
(「奥貫阿Q」という名前でやっています。)

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (27)
日記 (0)
小説 (80)
小説設定 「Moon King」 (2)
「Moon King」改変後 (107)

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。