2017-09

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短編小説 「くらげ」  ※「Moon King」 (改変後)とは別のお話

※今回お話は、今書いている小説・「Moon King」とは一切関係のないお話です。初めていらした方も、気楽に読んでいってください。

みなさんこんにちは(或いはこんばんは)。
奥貫阿Qです。

先週の予告通り、怖い話…というか、怖い話っぽいものを書いてみましたよ~。
タイトルは「くらげ」。文字通り、クラゲ(?)が登場するお話です。風の強い日、空中に舞い上がるビニール袋が脳裏をよぎったことが、この作品を書くきっかけになりました。
もっとも、中身はかなり薄っぺらいですけどね!
以前からストックしておいたネタを改良したにもかかわらず、相当薄型なお話です。
この小説で言えることといえば、

・自分の健康はきちんと管理しましょう
・新聞見るならより幅広い記事を見ましょう

ってことくらいですし。
資格関係や就活関係で新聞を見る機会は増えましたが、地域や文化にかかわる記事って、「え?そうなの?」って思う部分が多いので、けっこうためになりますよ。
というか、文系の人にとっては面白く読める記事が多いかもしれない。
新聞嫌いって人は、その部分から読んでみるのもありなんじゃないでしょうか。

色々駄弁りすぎたので、そろそろ本文へと移ります。
ゼミ発表が終わったら、「Moon King」でやる連載ものの準備します!



「くらげ」

(まただ)

俺こと牧田。生まれてこのかた二十数年。
大した怪我も病気もせず、今まで過ごしてきた俺だが、ここ最近変なものを見る。
それも、夜になると、だ。
「それ」は決まって日暮になると、俺の視界の端に現れる。

(何も害はないんだけど、強いて言えば気になるんだよなぁ)

今日も大学からの帰りで、電車に乗っていた時に目に入ってしまった。
最近俺を悩ます「それ」は、俺の気持ちなど気にすることもなく、ぷっかぷっかと空に浮かびあがり、消えた。
もっとも、「それ」は俺の気持を気にすることは決してないだろう。
だって「それ」は脳を持たない生き物―くらげなのだから。



くらげのことを強く意識するようになったのは、一か月前の保健室でのことだった。

「○○学部××学科の牧田さん…でしたよね?視力に特に異常はありませんでしたよ」
「ええ。それは分かってるんですけど…」

くらげが見え始めた当初、俺はちょうど、学内で行われる健康診断を終えたばかりだった。
毎日毎日、白いもやっとしたもの(俺はその頃、くらげがはっきり見えていた訳じゃなかった)、そんな訳の分からないものが見えたら、誰だって自分の目の健康を疑うだろう。
だが、自慢じゃないが、俺は視力にだけは自身があった。今までの人生を、メガネにもコンタクトにも頼らずに乗り越えてきたのだから。どんなに結果が悪い時でも、「視力1.0」を切ったことはない。
それなのに、あの訳の分からないものが見えるとは。
視力以外に、何か目に問題があるということだろう。
もしかしたら脳か。

「…あの、俺、ここ最近白い靄のようなものが見えるんですよ。いつも日が暮れた後にそれが現れて、まるでくらげみたいな動きをした後で、空に消えていくんです。それってやっぱり、目の異常とかなんじゃないですか?」
「そういうものが見えるんですか…。分かりました。では一応、学外の医療機関で検査をしてみてください。結果が分かり次第、またこちらにいらしてください」
「分かりました」

そう言って、俺は保健室を後にした。
幸いその日は、午前中で講義が終わったので、保健室を出たその足で病院に行った。
だが。

「何で…」

病院で検査をしてもらった結果、目には何も異常はなかった。
視力はもちろん、その他もろもろの病気の可能性さえも。
今日は目だけの検査だったので、脳まで見ていない分、以上の原因は掴めないままとなった。

「心配なら、後日脳の検査もしましょうって言ってたけど、絶対金かかるしなぁ…」

CTだのMRIだの、そんな感じの機械が出てきてしまうのだろう。
あくまで噂だが、あれらの機械にかかると随分高くつくと聞いた。
就活を始めたばかりで、来る日も来る日もバイト代が、錬金術よろしく交通費に変わっていってる状況である俺には、脳の検査なんて受けるだけの余裕がない。
第一、 時間もない。

「…脳は、いっか」

そう決めた。
脳の検査は受けない。目に異常がないというのなら、きっと就活を始めて疲れが出たのだろうと、そう考えることにした。

(せめて一か月くらい、様子を見よう。それで状況が悪くなったら、また検査をどうするかを考えよう)

その時は、そう思ったのだ。
今、検査云々を決めるのは、早急かも知れないと。



そして、その一か月が過ぎた。
俺の症状はさっき述べた通り、治るどころかますますひどくなっている。
くらげの輪郭はよりはっきりし、今じゃかさの模様の様子まで分かってしまうというありさまだ。

(でも、病院には行けないな…)

就活開始から一か月たった今、俺は一か月前とは比べ物にならない程忙しくなった。
学校では卒論のための勉強。学外ではバイトと就活。家にいたところで、履歴書やら何やら、いろいろ書かなくちゃならないもの、やらなくちゃいけないことが沢山あるんだ。
病院に行っている暇など、もうほとんどない。
選挙に行く時間すら惜しいくらいだ。
幸い、くらげは俺の真ん前に現れることはまずない。
いつも視界の端っこにいて、「あ、いるな」と思わせる程度の存在だ。
害なんかない。まだ暫くは、ほっといても大丈夫そうな存在だ。
何よりあれは、俺の目にしか見えない存在だし、気にしない方がいいのだ。

(しかし、あれだよな。小っちゃい頃は空を飛んでくビニール袋見て、「あれ、くらげみたい!」とか思ってたもんだ。それで、頭の中でくらげを空に浮かべてみたりしていた)

今は、その妄想が現実に見えてしまっているのだけれど。
だけど、あんなのが本当に表れたら、みんなびっくりするだろう。新聞にも取り上げられるに違いない。
もっとも、俺が読んでいる新聞は電子版だし、何より経済関係以外は目を通してないから、新聞に取り上げられても、俺には分からない。

(くらげなんか、どうでもいいか。今は急いで帰って、今日中に書かなきゃいけない履歴書を書くんだ)

俺は吊皮をぐっと握って、電車の振動に耐えながら、今日帰ってからやるべきことを頭の中で整理した。



「今日もこんな時間に帰ってきたなぁ」

人通りなんて殆どない駅の出口。誰も聞いていないのをいいことに、俺は独り言ち、思いっきり伸びをした。
今日は一度も座席に座ることができなかった分、随分疲れてしまった。約二時間経ちっぱなしって、以外に疲れるのだ。できれば履歴書を書く前に、電車の中で仮眠を取りたかったのに。

 (言ったってしょうがないか。帰ろう)

 夜、しかも誰もいない場所っていうのは、もう立派に成人した今でも怖い。
 突っ立っている必要がないなら、夜道を急いで帰るべきなのに、随分ぼうっとしてしまった。

「疲れたまってるなぁ。…お?」

歩き始めた途端、突然、一陣の風が吹いた。
あんまりにも強い風だったから、駅のすぐ横にある神社の桜の花を散らし、夜の空へと明るい色を放った。
綺麗だ。
ここ数年全然花見なんてしてないけど、綺麗だと思った。
駅前の街灯の光に照らされて、より明るい色になった花びらが空へと消えていく。
月の光じゃない分風情には欠けるけど、それでも十分に見ごたえがある光景だった。

「ただ、あれがなぁ。あれさえなきゃ、もっと風情があったのに」

俺の言う「あれ」。それは、どこからか飛んできたビニール袋だ。
街灯に照らされて、夜の空をふわふわと飛んでいくそれには、風情なんかない。何だか、興ざめしてしまう。
早く、どこかへ飛んでいってくれないか。

「うん?」

ところが、どうしたことだろう。
ビニール袋は軽いから、すぐにどこかへ飛んでいくものだと思っていた。
なのにあのビニール袋は、やけに重そうにふわふわと宙を漂い、地面に落ちてくるではないか。

(随分重そうに漂っているな)

そう。何とか空中に浮かぶその様は、まるで俺が見るくらげのようじゃないか。
あのくらげは、ここまで俺の近くに出てくることはないから、まさかくらげではないとは思うけど。

(まさかな…)

今日も今日とて時間はない。だけど、ぜっかくの桜だから、もっと見ていたい。
そんな思いから、俺はビニール袋が落ちて、どこかへ転がっていくのを待つ。
さっさと落ちろ、ビニール袋。

「…うん?」

おかしい。
あのビニール袋、取っ手の部分が随分と短いようだった。
さっきも述べたとおり、俺は視力がいいんだ。宙に浮かぶビニール袋さえ、輪郭を確認するくらいできる。
よくよく見てみれば、あのビニール袋、取っ手が六個あるじゃないか。
六個も取っ手があるビニール袋なんて、この世にはない。

「あ、」

それは、くらげだった。
ビニール袋に限りなくよく似た、一匹のくらげ。
途中、また風が吹いたこともあり、それは今、俺の方へ落下してきている。

「い、嫌だ!」

現実にはないものだから、恐れることなんてない。ないのだけれど、今までになかったくらげの大接近に、俺は反射的に避けてしまった。何だか怖いから、目もきっちり瞑って。
もっとも、避けた時には、もう随分くらげが近付いてきていたけれど。
だが、それでも大丈夫だ。
このくらげは、現実にはいないものなのだから。

そう思った時だった。

「え」

ひやっ、と、まるでつるつるのゼリーのような感触が、俺の手の甲に触れた。
あり得ないその感触に俺は今まで瞑っていた目を開き、手の甲に触れたものを見てしまった。

「ウワアアアアッ!」

模様なんかじゃない。
俺にかざったくらげは、迷惑千万とでも言わんばかりに、こちらを「睨んでいた」。
かさの天辺についている、誰がどう見ても人間の目にしか見えないもので。



その後のことは、よく覚えていない。
気が付いたら家にいて、気が付いたら朝だった。
もちろん、履歴書等には一切合財手は付けられていない。…どうやらこれらは、今日の講義を蹴って、頑張って取り組まなければならないようだ。

「おーい、兄ちゃん。起きてる?」

ベッドの上でぼーっとしていると、ノックもせずに部屋のドアが開けられた。
ドアを開けたのは、俺の双子の弟だった。
俺とは違い、地元で就職するべく、地域紙にもきっちり目を通す真面目な奴だ。

「兄ちゃん知ってるか?今朝父さんが新聞読んでて、偶然見つけた記事なんだけど」
「知らないよ。俺は経済紙しか見ないし。電子版だし」
「ものぐさだなぁ。ほら、この記事。この県内のニュースが出てるんだけどさ」
「…うん?」

弟から記事を貰った瞬間、俺の視界は真っ暗になった。
精神的にショックを受けたんじゃない。「物理的に」、目の前が真っ暗になったのだ。

「『異常現象?県内の空にくらげが発生』だってさ。何でも一か月くらい前から、県内の空にくらげが出るようになったんだって。でもこれ、正確にはくらげじゃなくって、かなり質の悪い新種の生き物らいいよ。特徴は、かさのてっぺんに目玉が付いていること。これに触れてしまったら、視神経に障害が出て、二十四時間以内に必ず失明…。うわ、現実味ないけど怖いわー。兄ちゃんも気を付けてね」
「…」
「…兄ちゃん?」

そうか。
俺に今まで見えていた「くらげ」。
あれは本当に存在していたものだったのか。

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