2017-11

今回は二本立て-「Doll」④編--

こんにちは!(或いはこんばんは!)
奥貫阿Qです。

つかの間の晴れ間にウキウキしている奥貫ですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
季節のイベントも盛りだくさんある時期に入ったため、忙しい日々を送らざるを得ないですが、豪雨、そして、これから来るであろう暑さの対策もしていきたいですね…。

さて。今回のブログは特殊です。
七月に入るまでことごとくイベントを逃した感があるため、久々に二本の小説をアップしてみました!
一本目は「Doll」シリーズの第四話目。
短めですが、この文の下に載せておきます。
次が季節もの兼キャラの誕生日チャンポンの小説です。
チャンポンしすぎて、ただのギャグ小説となり果てましたが、読んでくだされば幸いです。

それでは、今週もよろしくおねがいします!
ギャグ小説はこの記事の上にアップしてありますので、よかったら是非!



「Doll」④
(byシンタ)

女の子が消えてしまった。
もしかしたら…いや、もしかしなくても、キリさんの咆哮にびっくりして、逃げ出してしまったのかもしれない。もしかしたら、ここが何かヤバいとこだと勘違いして、怖がってしまったのかも知れない。
そんなことになったら大変だ。
知ってる人なら知ってることだけど、ここにいる人達は、一癖も二癖もあるけど優しい。基本的にはいい人達ばっかりだ(と思う)。元は異邦人ばかりなのに、割と近所の人達にも大目に見られているくらいには、ちゃんと信用もあるようだ。
それなのに、あの女の子が、ここの悪いことを触れ回ったら一大事だ。
ここ以外の自警団の信用にもかかわるし、何より、移住して三年も経っていないこの人達の立場は、財政面でも人脈でも弱い部分がある。
そこに悪い噂でも入り込んだ日には…。嫌だ。もうここの自警団の破滅しか想像できない。

(そんなことになっちゃ駄目だ!准尉殿に、恩をあだで返すことになってしまう!)

嫌な想像を振り払うべく、俺は女の子探して走り出した。
こうなってしまったら、もういち早く女の子を探し出すほかはない。俺のタイミングの悪さで迷惑をかけかけているのだから、俺が何とかしなければ!

『…ラ。行くよ』
『…うん』
「…ほ?」

何だ。向こうのT字路から、若い男と女の子の声が聞こえてくる。
ナントカ…ラ、ねぇ。カザミじゃあんまり聞かない名前だ。
移民の子だろうか。
…あ。てゆうか。
この女の子の声って。

「あはは…。まさかねえ?偶然路地の向こうに、あの女の子がいる訳なんて~…」

似てるっちゃあ似てる、この声。
なるたけ早く発見したいけれど、まさかまさか。
都合よくT字路の向こうにあの子がいるだなんて、そんな好都合な。

「ええい!確認してやれ!」

言葉とは裏腹に、俺は期待八割、半信半疑二割という、非常に期待を込めた気分で、めちゃくちゃに足を動かした。期待感で興奮する気分ゆえの行動だ。
足はめちゃくちゃ。しかし中々のスピードで、俺はT字路を右に曲がった。声はこちらから聞こえてきたのだ。
紛ってすぐに見えたのは、男の背中だ。アイさんのように白衣を着ていて、何かこう…もさっとした印象を受けた。まさかこの世に、アイさん以外で白衣を普段着にする人間がいたとは。
そして、肝心の女の子。白衣野郎の陰で見えにくくなってしまっているが、白いワンピを着ていた。ノースリーブの、白いワンピ。
…うん。後姿だけど、間違いない。
あの女の子のようだった。

「ちょっと、」

待って。
そう言おうとした時だった。

「じゃあ、俺は先に帰っているから。ミラはゆっくりおいで」
「…うん」

ミラ。
今度はハッキリ聞こえた。
どうやら「ミラ」ってのが、あの子の名前らしい。
ミラ…ミラちゃんか。いい名前だ。
そういやいつか、准尉殿が言っていたっけ…。

『シンタ、「ミラージュ」って単語を知っているか?フランスって国の言葉で、「mirage」と書く』
『意味は蜃気楼。または幻影』
『ありもしないのに、あたかも存在しているかのように見える、あの現象のことだ』
『ある国では、蛤が作り出す幻と考えていたらしいな。話によっては、その幻に惑わされて、蛤の腹の中にいた、というものもある…』

蜃気楼。幻影。
先の時代の、どこかの国の人が、そういう意味で使っていた言葉。
ミラージュ…。何かその単語とよく似た名前だ。
ミラちゃん…ミラージュ……幻?

「……偽物?」

いきなり走り出して、そして、いきなり立ち止まってしまったせいだろうか。ドコドコと脳の奥で心臓のような音が聞こえ、頭がぼうっとしてくる。
そのぼうっとした頭で、連想ゲームのように出てきたのが、こんな失礼な言葉だった。
アホくさい。ミラちゃんは、そこにいるじゃないか。

「にせもの…」

ボケた頭でこの単語を転がして、語感を確かめてみる。
…うん。ミラちゃんには当てはまんないや。全然。

「?」

俺はちっさい声で、今の言葉を呟いたはずだった。
なのに、何でミラちゃんがこっちを向いているんだ。
引きつったような表情を浮かべて。

「…にせ、もの?」

僕の言葉を反芻するように、引きつった表情のまま、ミラちゃんがそう言う。
違う。
君に直接そう言った訳じゃあないんだ。
ミラちゃん。

「…酷いことを言ってくれるね」

ミラちゃんの言葉に反応するかのように、男の人もこちらを向いた。
…ああ。ホントにアイさんっぽい人だ。メガネがあのビン底みたいな形をしている。アイさんと違うのは、短い髪をセンターで分けてるってことくらいじゃなかろうか。
アイさんは、もう分けようもないほど、頭がもっさもっさしているからな。癖毛で。

「ウチのミラが偽物だって?ミラは本物だ。偽物の人間は、この世にただ二人」

まるで酔っ払いのような足取りで、男が近づく。
不思議と、逃げようという気は、俺には起こらなかった。

「可愛そうに。君は、この装置ですっかり頭がのぼせ上っているようだね。もうそろそろ、自分の家に帰るといい」

言われなくっても、そのつもりだ。

「君は素直でいい子だな。…さ。このT字路を曲がって、早くお帰り」

…。

「ついでに、ミラのことは一切合財忘れろ」

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