2017-09

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「Doll」⑨

こんにちは(或いはこんばんは)!
奥貫阿Qです!

シルバーウィークにうつつを抜かしていたら、更新する日がずれこんでしまった…。
土日更新をお待ちしていた皆様、申し訳ございません!
ただでさえ、ハイスピードで物語を進ませているせいで、色々説明不足になっているというのに…。

今回は、その説明不足を補う(話を作る)切り口を、アイ兄さんに作っていただきました!
これと、残りの「Doll」シリーズ、加えて、アイ兄さん誕生の話・最終話付近で、「Moon King」に登場する技術の謎を補完しきりたいな~と、思っております。
早く就活と卒論終わらせて、集中して取り掛かりたいなぁ、もう…。

では、ボチボチ本編へと移ります!
また再来週お会いしましょう。



「Doll」⑨
(byミハエル)

「…あれ」

何かに滑って転んで、気が付いた。
私、さっきまで新兵太の汗を拭ってやっていたと思うんだけど、どうしたんだろうか。
あの時、キリの家のリビングにいた時。急に体が硬くなって、その次に、内側から燃やされているかのような熱が湧いてきたと思ったら…目の前は深い森。右も左も緑の木、木、木ばかり。だけど、プスプスと煙を上げて、樹皮が炭化している木ばかりだなんて、一体、何が起きたって言うんだ。

(てゆうか私、確実にキリん家のリビングにいたよな。ここ最近二時間半しか睡眠取ってないからって、寝ぼけて夢でも見ていたんじゃ…)

自問自答してみたが、どう考えても、「キリの家にいた」、ということは現実だと、私は思った。
その証拠に、キリの家で御馳走になった(ん?無断で飲んだんだっけ)、ビールの匂いと、さっきまでアイが使っていた薬の臭いが、まだ自分からしているのだから。

(しかし、私は何でここにいるんだろ。何で木がこんなことになっているんだ)

考えてみても、答えは見えない。ここへ来るまでの記憶がすっぽりと抜けてしまっているからだ。

「本当、何で私はここに…」
「それは俺が説明してあげる」

突然、私の背後から声が聞こえてきた。
バッと振り返ってみると、そこには。

「オラッ!」
「あがっ!何すんのさ!?」

…頭で状況確認する前に、体が反応してしまった。
白衣にビン底メガネ。
十二の頃から恨みつらみを蓄えている、あの野郎と全く同じ特徴に、思わず拳が出てしまった。
一応、利き手じゃない方の手で殴って、利き手を守ったのは、流石私といえるけれども。

「俺の安否はどうでもいいの!?」
「当然。白衣にビン底メガネ、ついでに頭ぼさぼさでうろつく男なんざ、ろくな奴はいねえ」

漫画やアニメ、果ては小説でも、それはお約束のはずである。
間違ってたらごめんね。

「疑わしきは全て検挙だ。覚悟しろ」
「君、自警団員か何かかい!?とんでもない奴がいたもんだな!」

うん。それ、軍人時代にも言われたよ。
だからスナイパーやらされることになったの。

「ここまで呼んどいてあれだけど、気絶してくれ!」

男はそう言うと、何やら変な音…モスキート音?とか、アイは言ってたっけ。
ピーだかキーだかうるさい、耳障りなそれに似た音のようなものを出し始めた。
だが。

「音が小さい」
「へぶらっ!」

腹立ちまぎれに、そいつを殴ったら、音が止まった。
全っ然効かねえわ。これ。
前にアイに似たようなものを食らったが、あれの方が、もっと音が大きくて、それこそ気絶寸前までいった。
あの時は、感覚神経の限界を、負けん気と怒りでカバーできたから勝てたけど。

「え、ええ~、色々想定外な力だ…。じゃあ、これで、」
「うぜぇ」
「あ、ああああっ!俺の発明品がっ!」

発明品?
嘘つけ。さっきの道具も、今蹴っ飛ばして粉々にした道具も、アイのラボで見たもんだぞ。
大方、アイが大昔に書いたっていう論文だか設計図を見て、あんたが作ったんだろうが。

「ああああ…。君、大して俺の話も聞かないで…。終いには『うぜぇ』の一言で話を終わらせて…」
「…」
「何とか言ってよぉ!」

嫌だ。
話す時間も惜しいんだ。

「ッ!」
「う、うはぁ!」

おっとっとっと…、と、男は私の蹴りを避け、ふらついた。
こんな体力なさげな男に、私の蹴りが避けられるだなんて。…何か、案外手間取りそうな予感。

「遊びは終わ…ふげっ!」

また何かしそうな男に、私は今度こそ蹴りを命中させた。
早く、この男を潰さなければ。
何だか首筋がぞわぞわする。
嫌な予感しかしてこないんだ。


(byアヤト)

「まず、この部屋をこんなことにした、犯人のことから話そうか」
「え?シンタが大熱出したんじゃないの?」
「人間が陽炎つくるような高熱出すかよ…」

もっともだ。
人間がそんな高熱を出す生き物だったら、床暖房なんて技術は生まれてすらいなかっただろう。
むしろ、人類には寒さも凍死も関係なく、その代りに熱さや焼死に苦しめられていたかもしれない。

「じゃ、アイ兄さんがしくじったの?」

そんなことに気が付いているのかいないのか。キリさんは更に質問をした。

「あんた、中々失礼なこと言うな。…だが、犯人は俺じゃない。ミハエルだ。お前らがミカやらミーナやら言う、あいつのことだよ」
「え!?」
「ミカが!?」

信じられなかった。
ミカが犯人だって?
ミカがこの部屋で何かやらかした…キリさんの言葉で言えば「しくじった」、か。アイさんとコンビで仕事をするのには慣れていたとしても、扱った装置(この部屋から機械に近い音はしてたからね)の操作を間違って、発熱・暴走させたのなら、話は分かる。
だけど、この部屋にはミカがいない。百歩譲ってミカが犯人だとしても、この部屋で小火があった痕跡はない。煤こそついているものの、明らかに、この部屋の壁とかが燃えた痕跡がないのだ。
煤があるってことは、この部屋で何かが燃えたことは確かなのに…。

「まずは、この部屋に煤があるってことに注目してくれ。それに、ミカがいないってことにな」
「…確かに、この部屋にミカはいませんが」

治療が終わって、シンタ君の着替えでも用意しに行ったのではないか。そう僕は訊いたが、アイさんは首を横に振る。

「そうじゃねえんだよな。取り敢えず、余計な詮索はなしに、この部屋に煤があることと、ミカがいないという事実のみに注目してくれ。そうすりゃ、答えが浮かぶはずだ」

事実のみに注目しろ、か。
できないことはない。そして、答えが出せない訳でもない。
でも、この答えは…随分現実離れしちゃいないだろうか。
ミカの不在と、部屋の煤。
これじゃあ、まるで…。

「い、嫌だなァ、アイ兄さん。まさかこの部屋で、ミーナの体が燃えて消えたって言いたいの?ありえないでしょ」

僕より先に、苦笑いを浮かべたキリさんが言ってしまった。
うん。僕も同じことを考えていた。
キリさんを弁護するため、僕も、なるべく具体的な例を挙げて、反論させてもらう。

「アイ博士。一応僕、以前いた国で『死蝋』ってものが燃えるのを目にしたことはありますよ。でも、あれは死体が蝋に変化したものであって、生きた人間が燃えたってこととは訳が違います。人間の体は六十パーセントが水分だって、科学系の雑誌で読んだこともありますし、やはり、生きた人間が燃えるなんて、ありえないのでは?」
「…事例なら、あるんだよ」

その言葉に、キリさんも僕も、目を見開いた。
あるのか?過去に、生きた人間が燃えたって事件が。

「だがまあ、それと今回のことは無関係だ。第一、『生きた人間』って条件からして、今回の条件とは大きく異なっている」
「…え?」

…僕とキリさん、どちらが声を漏らしたのだろうか。
何だって?「生きた人間が燃えた」って事件じゃないってことがいいたいんだよな。この人は。
でも、ミカは生きているじゃないか。
生きて、バリバリ仕事していたじゃないか。
…火事の現場で助けた時、確かに彼女の呼吸を感じたじゃないか。
僕の顔のすぐ横で。

「俺も人の事言えたもんじゃないが…。動いてるとか、そういうことだけで『生きた人間』と思わん方がいい」
「…」

僕もキリさんも、何も言わずに、固唾をのんで、アイさんの言葉を待った。
アイさんは、僕らからの質問や抗議の声を待っているようなそぶりを見せていたが…やがて諦めて、話を再開した。

「そもそもあいつは、『生きている』という観念に当てはまるかどうかすら分からん。…見ろ。これが生きている人間の水分量。こっちが、あいつの中に占める水分量だ」

もう、「自分が普通の人間じゃない」ということを隠すのを止めたのか。アイさんは何もないところから、まるで、グラフィックアートのような「もの」を出現させた。
「もの」としか表現できないのは、その「もの」が、平面の絵のように見えるにもかかわらず、掴もうとしても掴めず、ただ宙に浮いているだけだったからである。

「ミカの水分量、随分と少ないですね。その代わりに、『i』ってアルファベットが多く記されていますが」
「そいつは元素記号だな。『I(ヨウ素)』と被らないように、わざと小文字で書かれてやがる」
「どういう原子を示している記号なの?」

キリさんの言葉に、アイさんは窓の外を指差した。
外には季節外れの、しかも、この辺には中々姿を現さない、浮島が飛んでいる。

「『イノセニウム』だよ。普通、人間の体にはねえ物質だな」
「イノセニウム!?」
「何でそんなもんが、ミーナの体に!?」

僕は何とかこらえたが、キリさんは驚きの余り…いや、「何で今まで言わなかったんだよ!」という気持ちもあるんだろう。アイさんに掴みかかってしまった。
縋りつくような表情で見上げているから、「アイ兄さん、まさかミーナの体に何かしたんじゃないよね?」という気持ちもあるのだろうが。
もし、この人が原因でミカの体が変になったのなら。生きているのかどうか、と言うくらい、生き物とも死人ともつかない立場になってしまっているのなら。

「全部あんたのせいなら…。僕もあんたを許しませんよ。痛い目見させます」
「そうかい。じゃ、俺は、お前から一生痛い目を見ずに済むんだな」

腹の立つ言い方ではあったけど、アイさんの言葉に、僕は拳の力が抜け、キリさんはアイさんの白衣を手放した。
取り敢えず、良かった。身内同士の争いに発展せずに済んで。

「というか、あいつにゃ俺も手出しできねえよ。情けねぇ話、あいつを調べているうちに分かっちまった。あいつは、生まれつきああいう体質なんだ。体に、水分以上にイノセニウムを蓄えられる。しかも、そのイノセニウムの使い道が恐ろしい」

そう言うと、アイさんはミカのことを記した「もの」を指差した。

「外部から極度のストレスが与えられたとき、無意識に発火現象を起こすんだよ。しかも、発火と同時に暴走も起こす。…そういう仕組みが、あいつの体にはある」
「何で?ユバナ軍がそういうことしたわけ?」
「ユバナ軍じゃ無理だよ。科学力も資金もない」

キリさんの質問を無視し、アイさんは別のコンピュータグラフィックスっぽい「もの」を出した。
そこには、見たこともないマークが描かれている。
どこかの会社のロゴのようだけど、どこのものだろう。

「これが、あいつの体の仕組みを作った組織だ。今はもうない組織だが、あいつはここでこんな体になった。…生まれる前にな」

生まれる前。
ちょっと待て。じゃ、ミカの家族はどうなってるんだ。
ここに勤める人達の誰かか?
もしくは、アイさんのこの何かを知っているような顔。ミカに似ている顔と、不思議なことができるこの人物。…まさか、この人がミカの家族!?

「『家族』って概念が当てはまるかどうかは不明だが、あいつも、実は俺も、ここで世話になった。生まれる前に体の仕組みを『人じゃないもの』に変えられ、世に生み出された。出来損ないのものを含めると、ここで生まれた奴らは数千種類にも及ぶ。低価格でつくることが可能な連中は、量産されていたな」
「量産!?」
「何そのロボットみたいな言い回し!」
「いや、実際ロボットみたいなもんなのよ」

「え?」とも「何?」とも言う前に、僕とキリさんの時が止まった。
もうアイさんは、質問で話を遮られるのが嫌になったんだろう。僕らの反応を見ることなく話を続けてしまった。

「俺らは、イノセニウムをエネルギーに動く機械で作られてんだよ。殆ど生き物の細胞と同じように、体を作り、動かし、増えていく機械でさ。それも、」

そう言うとアイさんは何処からかメスを取り出した。
そして、何の前触れもなく自分の腕にスッと刃を当てて引いたものの…さっきの火傷同様、すぐに傷は消えてしまう。

「自己回復の機能も持っている。この機械の名前は、『ナノマシン』。イノセニウムのお蔭で安価に、しかも効率よく生き物の模造品を造れる、先の時代の主要技術だ」


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