2017-11

七五三ネタ ※一個前の記事にお知らせ有り

こんにちは(或いはこんばんは)
奥貫阿Qです。
この記事の前に一つ、暫くブログをお休みする、という旨の記事があります。
そちらにも是非お目通しいただければ幸いです。

さて。
今回は「Doll」の続きが書けず、季節ネタです!
今まで書かないでいた「七五三」に、今回チャレンジしてみました。
ほぼほぼ成人ばっかのこの小説で七五三?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は七五三適齢期の人が一人だけいるのです!
それは誰でしょうか?
詳しくは本編で!

なお、この小説の時系列は去年の今頃となっております。
今絶賛ピンチ中のミハエルも元気に動き回っておりますので、ご注意ください。
(あ。てことは、十五夜の話も去年のことだろうか。こっちでもミハエルが元気にしてるし、もうそれでもいいかもしんない…)



「十一月には何もない」
(byキリ)

「いや。あるでしょ?七五三が」
「あるけど、やる人がいないでしょ。知り合いにはさ」

久々のギャグ回で、感覚をつかみかねているのか。
唐突にタイトルで物申してしまった。

「そうは言っても、キリさん。やってみたいっちゃあやってみたいんでしょうが。あんた、季節の行事大好きじゃないですか」
「そりゃそうだけどね?雛祭り・子供の日・七夕・ハロウィン…まあ、何かにつけて騒いでこれてもさ。みんな独身だし、成人だしで、こればっかりはどうにもできないんだよねぇ」
「さいですか」
「さいですよ。…あーもー、今だけはうらやましいなぁ。小さい子がいる家庭が。ちょっと憧れるんだ。綺麗な着物選びあって着せたげて、『ねえ知ってる?この柄にはこういう意味があるんだよー』とか教えてあげてみたい」
「早くも後継者育成を考えてんですか。あんたは」

記念日に勉強とか酷ぇ、という弟子の酷い発言を受けるが、私は気にしない。
だって夢なんだもの。
真昼のリビングで見る、白昼夢なんだもの。

「てゆうか、あっくん。前に七五三の意味って教えたよね?なのに何で七五三の存在をゴリ押すのさ。できないでしょ?」
「いや。あんたなら適当にモデルを見繕って、『将来のためにセンスを磨くゾ☆』とか言って、無理矢理やりそうだなぁ、と思っていたので」
「ホント最近酷いな、君…」

と、言いかけて、ハタと気付いた。
あっくんの意見はなかなか面白い。
モデルを見繕って着物を着せてみる、というのもアリっちゃアリだろう。
だけど、よくよく考えてみれば、七五三できる人がいるじゃないか!
見た目が「ぽくない」だけで!

「…あっくん。男の七五三って、確か五歳だよね」
「そうですよ。数え年の五歳にやっちゃう家もあるようですが」
「そうか…。時に、君。年齢は?」
「知りませんよ。一旦赤ん坊に戻ってしまい、四、五年目でこうして青年になりましたし…」

そこまで言って、ハッとなった弟子野郎。

「気付くのが遅い!覚悟おおおおお!」
「おわああああああああッ!」

(今年の)七五三、万歳!



「うーん…着物、無いなあ」

修理済みの着物を引っ張り出してきたのはいいものの、私は早くもため息をつく羽目になっていた。
わざわざ修理に出すような着物だから、どれも物はいいんだ。
だけど、「男物」の着物ってのが、まぁ無いわ無いわ。

「預かっていた気はしたんだけどなぁ。どっこに仕舞っちゃったんだか」

返した覚えはないんだから、早く探し出さなければ。
当て身を食らわして気絶させ、※パンイチで床に転がした弟子が目覚める前に。

(※パンツ一丁の意。節分の神事として、アヤトがなった姿。詳しくは2015年の2/2の記事で。)

「床が冷たいからなぁ。早くしないと起きちゃう…」

…言い終える前に、私は喋るのを止めた。
今、廊下の方から「ゴトッ」て音聞こえた気がしたんだけど。
うち、居住部も事務所も、私達師弟しかいないんだけど。
もしかして…人気(ひとけ)無さ過ぎて盗っ人入っちゃった!?
やだ怖い!

「キリちゃーん」
「うおっ!…って、何だぁ。アイ兄さんかぁ」

あー、びっくりした。いきなり顔出すんだもん。
妙齢の女なのに、「うおっ」とか言っちゃったよ。
若い女の悲鳴は、ミーナ以外は「キャッ」なのに。

「どしたの兄さん。今日は非番でしょ?」

取り敢えず、悲鳴のことは置いといて、私は兄さんに要件を訊いた。
どうせトラブルっきゃ持ってこない人だもん。早く帰ってもらいたい。

「…」
「…兄さん?」
「…見たぜ」
「は?」

何よ「見た」って?
何を見たっての?

「じゃ!」
「ああっ!」

逃げた!
唐突に逃げやがった!
一体何だってんだよ本当!

「ちょっ、兄さん!何で逃げるの!」
「決まってら!おめえのやったこと全てを報告しに行くのよ!」
「ど、何処に!?」

いや、何一つやってないんだけどね!?
早くも息が上がって、いかにもギクッてしたような喋り方になる己が憎いわ!

「それこそ知れたこと!ここにはいねぇミカの野郎にだよ!弟子だのなんだの言いながら、結局てめえが食っちまってんじゃねえか!」
「はぁ!?ちょ、誤解よ誤解!」
「裏切りモンはみんなそう言うんだよ!」
「えーーーーーっ!?」

確かに誤解されそうな光景だったかもだけど!
何もしてないし!
パンイチにしたけど!

「食う訳ないじゃん!実質息子みたいな愛弟子を!」
「裏切り者めええええええええ!」
「聞けよ!人の話を!」

つうかこいつ、間違いなくトラブルこさえようとしてんな!?
無駄に騒がせたら、間違いなく誤解されそうなノリじゃん!
近所の視線が冷ややかになるじゃん!

「ああっ!外に逃げないで!鍵持ってきてないから!」
「裏切り者おおおおおおおお!」
「止まれよ、この不届き者おおおおおお!」

ホントにマジでやめろ!
七五三と私の評判がめちゃくちゃになる前に!


(byアヤト)

「うーん…。おや?」

何で僕、床に寝てんの?
何で心なしか肌がスースーするの?
悪霊に憑かれたような顔したキリさんが突っ込んできてから、一切の記憶がないんだけど…。

「アヤト。お邪魔してるよ」
「あれ?ミカ、いつの間に来てたの…」

起き上がり、ミカを発見し、彼女に喋りかけた。
それだけのことをやった途端、一瞬、僕の全ての体の動きが止まった。

何で肌がスースーすんの?
     ↓
その部分の肌が剥き出し。
     ↓
ケツ以外めっちゃスースーしてる。
     ↓
ケツ以外めっちゃ肌出してる。
     ↓
それ即ち?
     ↓
パンイチ。

その一瞬の間に、僕の脳は凄まじいスピードで状況を分析したんだ。
パンイチ。

「何でだよッ!?」

分析が終わった途端、そう叫ばざるを得なかった。
何でパンイチ!?あ、もしかして七五三か!?七五三だからめかしこまそうとしたんか!?
だったら直接そう言えや、キリさん!
おかげで今、女子に見せたくない姿TOP3にランクインしてる醜態さらしてるよ!

「アヤト。何でトランクス一丁で気絶してたの?」
「言わないで!パンツの種類まで言わないでよ!」
「風呂上りに気絶でも押し入ったか?」
「聞いてよ僕の話を!てゆうかパンイチになった原因は、もうそれでいいよ!」
「パンイチって何?」
「もうそろそろ黙って!」

ぜーぜーと、気絶から一気に脳を動かしたせいか。体中に十分な酸素が行き渡ってない気がするんだ、僕。
ちょっとシャウトしただけでこれだから、これ以上酷使したらぶっ倒れるかもしんない。疲れ過ぎて。
喋り疲れとか、そういう類の疲れで倒れるかもだよ。

「…」
「…ミカ、できれば視線も外してよ」
「…」

何故だ。何故、視線だけは僕から外さないんだ。
穿いてるパンツ、そんなに変か?
だったら一理あるな。「ピカ○ュウ革命」とか書かれてる、訳分からんパチモン感いっぱいだもん。この柄パン。
突っ込み満載だよね。
でも見つめないで。無表情で見つめないで。怖いから。

「あー…。ミカ、どうしても言いたいことがあるなら、言ってもいいんだよ?」

変な笑みを浮かべながらそう言うと、ミカは視線を僕の頭の向こうへ移し、その方に向けて、顎をしゃくった。

「…服、着ないの?着物の山に、お前の服らしきものがあるけど」
「え?ホントに?」

全然気付かなかった。
ミカの視線の先を振り返ると、そこには確かに着物の山。
そしてその中に、無地の白い布が見える。

「あれ。でもこれ、相当高級そうな生地だよ。僕のシャツの生地じゃないんじゃ…」
「じゃあ、もう何でも着ちゃえばいいんじゃないか?それ以外、お前の服っぽいと思えるものは見当たらないし」
「マジで!?キリさんの奴、どこかに隠したか!?」

何故か姿が見えないが、出会い次第頭はたいてやろうと思う。
そしてそのままあの世へ行け。

「とにかく着ろよ。寒々しいから」
「あ…そだね」

確かにそうだ。いつまでも女の子の前でパンイチでいる訳にはいかない。

(三十分後)

「…うん。絶対アヤトの私服じゃないね」
「着てからそれ言うのかい?ミカ」

人間って不思議だ。
たかが布きれ数枚着込んだだけで、漲るこの自信(一部変態を除く)。
さっきのパニックあっくん…じゃねぇ。慌てふためく自分とは思えないくらい、堂々としていられる。心穏やかになれる。

「うん。でも、立派な服だと思う」

同世代の女の子に言われれば、尚更いい感じ。
「服」って布きれは、魔法の布だ。

「まるで平安時代の人のようだよ。狩衣(かりぎぬ)だなんて」

パチパチと拍手する彼女にも、僕は胸を張れる。
一体どこの誰の物なのだろうか。
僕が着物の山から引っこ抜いたのは、まさかまさかのこの一式。
民族博物館にも堂々と展示できそうな逸品を着れて、正直とても嬉しかったりする。
何かのイベントの体験コーナーでも着れないよ。これ。
まるで神官が着るような純白だし。絹で出来てるし。

「でも、似合…わないよね。流石に」

自分で言ってあれだけど、正直、この一点だけが、僕の自信を危うくする。
やはり、黒髪黒目のニホン男児じゃないと、映えないようなデザインだと思うんだよ。こういうの。

「いや。意外とはまってるよ。茨木童子とか、酒呑童子みたいで」
「異形の者扱い!?」
「強そうだよ」
「雅の世界からかけ離れた!」

ああもう!やっぱり似合わないんじゃん!
着て損した!自信返せ!

「何言ってんの。狩衣は鎌倉時代の武士の正装でもあったんだ。武士といえば武勇。さっき言った茨木童子だって、武士に腕切られたって武勇があるんだよ。強くて何ぼの世界じゃないか」
「それ、僕が退治される前提ってことかい!?やだよ!今また鬼退治伝説が生まれるなんて!」
「まさか。事情も訊かずに武力行使だなんて、自警団員が許さないよ」
「へ?」

何だい、それ。
上げて落として、また上げて?
今度はどういう落とし方しようってのさ。
そもそも君の目的は何だ。何でこうも僕を振り回す。

「理由はないよ」
「じゃあ遊び?」
「遊んでない。私は大真面目に話をしてるだけ」

ミカはニコリともせず、むしろ眉間に皺をこさえて、自分の荷物を漁り始めた。
あれ、何で怒ってんの。

「自分自身、悪い癖だとは思ってるよ。悪意の有無関係なく、思ったことをそのまま口に出してしまうのは」
「…?」

じゃあ、僕をからかっていた訳ではなく、ただ単にそう思ったからそう言っただけ?
悪気はない、と?

「一応、私にとっての『強そう』は褒め言葉なんだ」
「え、」

…何てこった。じゃあ、ミカは純粋に僕のことを褒めてくれていたのか。
そういえばミカって、よく考えてから喋る時と、今みたいに、脳みそすっからかんの状態で喋る時がある。前者は主に仕事の時。後者は主に、オフ中にリラックスしてる時だ。
特に後者は、良くも悪くもミカのことを知っている連中にしか出さない面。一部分でも深く信用してる相手じゃなきゃ、出さない面なんだ。
今まで、キリさんやアイさんくらいにしか、その面を見せてなかったけど、それを、こうもはっきりと僕に見せてくれるようになったということは…。
少なくとも、僕に信用できる部分があったということ。
それに気付いてあげられなかったとは、仲間として情けない…。

「…お。あった。アヤト、私今日インスタントカメラ買ったんだ。よければ記念に一枚撮ってあげる」
「いや。いいよ」
「?」

そう言い切ると、僕はもそもそと狩衣のセットを脱ぎ始めた。
似合ってるらしいんだけどね。

「…やっぱり、嫌か」
「うん。一人じゃね」
「鬼みたいだから?」
「ううん」

そういう訳ではなくて。

「折角距離が縮んだんだ。もっと近づきたい」
「…は?」

そう。偶然とはいえ、近くにいる存在だからね。
出来ればキリさんのように、アイさんのように、自然と近くに寄られるようになれればいい。

「僕一人がめかし込むんじゃなくって、君もめかし込んでいる時に、写真を取りたいんだ。『強そうな』格好でね」
「…」

今のミカに、表情はない。
皺も消えたけど、共に一切の表情も抜けてしまった。
…何考えてるんだろうか。今は。

「…まずは謝罪」
「へ?」
「それから、正しい言葉遣いをすること」
「へっ?えっ?」

何?何が始まんの!?

「つまり、」

無表情から一転、まるでラオウのような面構えに変わるミカ。

「『強そう』ってのは何でもかんでも使えばいいって訳じゃねぇ!」
「マギカッ!」

「マジか!」と叫ぼうとした途端、僕の脳に衝撃波のようなもんが直撃した。
右脳と左脳を真っ二つにするが如く、衝撃波はちょうど頭の真ん中を縦一線に貫いていく。
手刀か?この感じからして手刀か、これ!?

「分かったか!」

いや、返事できねぇし。全身がしびれて言うこと聞かねぇし。
あ、倒れる。

「フンッ!」

膝から崩れ落ちてく僕には目もくれず、すっさすっさとリビングの奥へと歩いていくミカ。
…あ。寝るのね。窓辺のソファで寝転ぶのね。
出ていく訳じゃなくて。
でも、雑誌越しに寄越す視線が痛いよ。
「お前が出てけ」と目で訴えてるけど、無理だからね。
全身しびれてるし、そもそもここ我が家だから出てく理由もないし。

「オチろや!」

腹に据えかねたのか、ミカは読んでた雑誌を構えて、僕の方へとブン投げてきた。
ご丁寧にも、背表紙の方を僕の方へと向けて。
あ。今当たった。
視界真っ暗になった。
気絶す


(おまけ)
(byルカ)

「お前ら、いい歳して追いかけっこなんて…」

「スンマセン団長ォ」
「『団長ォ』と名前を伸ばすな、アイ博士。…それにしても」

こいつらの自警団の団長になり、もう結構経ってると思ってた。
扱いに慣れてきたかな?と、タカをくくっていた。

「一体どう責任とるんだ?バザールのど真ん中をひた走ったせいで、お前らを避けようとした自転車が運転ミス。その結果自転車の前輪が青果店に突入して、ゆず数十個が行方不明。幸いそのうちの一個が見つかったものの、よりによって電話でラブコール中の男の頭に直撃して失神させるなんて」
「悪夢のようなピタ○ラスイッチですなァ」
「博士、もう黙っててくれないか」

全く。自転車の修理代に、ゆずの弁償。おまけに自転車の運転手とバカップルの片割れの病院代だと?
出費がかさむ年末を前にして、何してくれてんだ!

「取り敢えずあっく…じゃない。弟子のアヤトに連絡取りますねン」
「ああ、そうしてくれ。キリ副団長。お前らの給料から今回の事故の金が引かれるんだ。彼は経理もやってるんだから、早く伝えてあげなさい」

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