2017-09

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「大原くん」(「Moon King」とは無関係の短編です)

こんにちは!(あるいはこんばんは)
今日から「夢は小説家」改め、「小説工房」と、ブログ名を変えてきました!
ブログ名は変わっても、週一、忙しいときには隔週で更新していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

さて。今回あげるのも「Moon King」関連でなくてすみません(汗)
今回あげるのは、今「Moon King」で連載中のシリーズ、「Doll」でお世話になっている友人に捧げたものです。
この方がオリキャラを、当作品に出張させてくださっているおかげで、シンタがレギュラー並みに活躍できるようになったんですよ!
「新兵太」呼ばわりされている彼にとっては、相当な恩人というわけです。
シンタの生みの親として、この場を借りてお礼申し上げますm(₋ ₋)m

それでは、さっそくご覧下さい。
今週の口頭試問と実習報告会が終わり次第、、また「Moon King」を書いていきますよ~…。



「大原くん」

「おっはよーうございます!」
「…お、」
朝っぱらから元気だな。声のでかい人。
もとい、
「大原でっす!」
「知ってるよ。大原君、タイムカードは」
「うちです!」
何故だ。
そして事務所の扉はどこへ行った。
大原くんが入って来てから、見当たらないんだが。
「大原の奴、また扉壊して入ってきたのか…」
「今月で何回目だ?」
「六回目。新記録」
「ただ馬鹿で声がでかいならまだ許せるけど、大原の体格じゃあなぁ…」
私はよく彼から忘れ物・取引先の名前のど忘れ等で電話を受けるため、大原君と同じ営業部の人達の会話が、耳に痛い。しかし、言い分はよくわかる。
なぜなら、大原くんはデカい。声だけに限らず、背までぐーんと高いのだ。
その身長、約190センチメートル。
成人男性でさえも見上げるような背の高さなのである。
その背の高さで扉を破壊された日にゃ、愚痴の一つ二つ三つは出てきてしまうだろう。
誰に対しても朗らかで、何だかんだで営業成績もいいんだから、もっと会社内でもびしっと決めればいいのになぁ。
「タイムカードよりも大切なのは、社員という人材でしょう!課長!」
「私は部長だ!」
…件の大原くんは、上司の注意も同僚の陰口も気にしない性質なのだが。
とりあえず部長、お疲れ様です。



「いやぁ、ごめんねぇ、美緒ちゃん。俺また資料をどっかにやっちゃって」
「正確には、どっかじゃなくって鞄の中、ね。大原くんの。探しもせずに無くしたと思い込んで、営業先にも寄らず帰ってくるってどういうこと」
今の時刻は午後五時過ぎ。私は退社時間になってもまだ帰れなかった。
原因は、件の彼。
「今日は行けないって、ちゃんと連絡入れたからOKでしょ!」
「よくない」
もしこれが重要な書類とかだったらどうするんだろう。
万が一不手際が起これば、社の信用はがた落ち。大して大きくもないこの会社は、あっさりつぶれてしまうだろう。
「いやあ、それでもきっと大丈夫。俺一人がミスっても、会社は潰れないよ」
「…は?」
どういうことだ。
万が一ミスが起きても、名が穢れるのは会社の方。自分には関係ないとでも?
「や、や、そんな怖い顔しないで」
私より30センチもデカいくせに、小型犬に吠えられてる大型犬並みのビビり様を見せる大原くん。手なり首なりを振って、必死に機嫌を取ろうとするなんて。
大胆不敵なことを言ったくせに肝が小さいな、と、半ば軽蔑して、私は彼を見返した。
すると。
「うーん…そうだなぁ。美緒ちゃんに、分かりやすく説明するとすると~…」
「…」
何てことだろう。この男、全く応えてない。それどころか、私が話の内容を理解してないと思って、何やら説明をしだそうとしてる。
意外だ。そして、新鮮だ。
社内で真面目な大原くんが見られるだなんて、明日は雪か。
その真面目そうな顔をして、いったい何を言い出すというのか。
「…うん。さっくり言うとすれば、船みたいなもんかなぁ。会社って、俺達営業や、俺達を管理する総合職の人達、そんで、俺達をサポートしてくれる、君達営業事務のコ達がいるだろ?それってまるで、船のようじゃない。営業…つまり、船を進める力を作るオール一本がダメになれば、それを補う仕組みがちゃんとある。そうでなきゃ、船は進まないものね」
「…つまり?」
「つまり、俺が万が一ミスしても、補ってくれる存在がいてくれるっていうこと。その人がいるからこそ、俺は安心して仕事に行けるんだよ」
「…ふーん」
成る程。大原くんの言い分は、よくわかったよ。
「でも大原くん、よく電話かけてくるじゃない。万が一、どころか、けっこうミスが発生する確率は高いんじゃない?」
「あー、うん」
そうだ。大原くんにとって、私は所詮、こういう存在なんだ。
大原くんはまたわたわたと機嫌を取ろうとしてくるが、知らない。それよりも、気付いてしまってことが思いのほかショックなんだ。
私は思わずうつむいて、言葉を続けた。
「どうせ私も、会社の中の一人って感覚なんでしょ。所詮は私も船を動かす部品。それも、外に出てないし、婚期が来たら挿げ替えられる、代わりのきく部品ってこと。せいぜい時期が来るまで、がっつり利用すればいいよ」
「いや!いやいや!それは違うよ!」
相も変わらず、どこか軽い口調の大原くんの声。
まさか、こんな話の最中でも笑っているのだろうか。
「ただの会社の人とは、思ったことないよ。ましてや、代わりがきくとも」
…何だって?
相も変わらず軽い口調で、何か大事なことを言われた気がした。
もう一度聞こうと顔をあげてみても、大原くんはただただ、へらへらにこにこしているだけだ。
どこをどうみても、ただの朗らかなアホにしか見えない彼を見て、私はすっかり聞く気が失せてしまった。


(事務所のドアの向こうにて)

「大原君…お前、何一つ気付かれちゃいないぞ。とはいっても、お前もアホだから、気付かれてないことに気付いていないのか…」

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