2017-11

「Doll⑮」

こんにちは(或いはこんばんは)!
奥貫阿Qです。

お待たせしました!そして、またしても週末更新ならずですみません(汗)
新年度を迎える前とあって、色々多忙になってきてしまいました(汗)(汗)
週末更新と銘打つのやめようかなぁ…、と思う、今日この頃です。

今週のお話は、「Doll」の続きです!
ようやく書けました…。
シンタwithミラ組と、自警団ズwithoutミハエルの二グループが、地理的にどんどん近づいてくる回となっています。
長く書き続けてしまってる分、駆け足でお送りします!
今週も、どうかよろしくお願いします!



「Doll⑮」
(byシンタ)

「ホントにこれ、信用していいんすか!?」
「ええ!兄の元へ行くには、これしかないんです!」

ミラちゃんに道案内をお願いし、俺は走った。
途中で場所から場所へと瞬間移動できる装置を使ったおかげで、俺達はもう国外に出ている。
不慣れな道が多いから、こりゃあ時間をくうぞと思っていたのだが。

「はぁ…」

いる。いる。いる。
暗がりの隅に、木の上に、妙な姿をしたものがたくさん。
カザミを出る前からわんさと見えていたのだが、俺とミラちゃん以外には誰も反応しなかった。
多分こいつらは、あの俺以外には見えない連中なんだろう。
ミラちゃんにも見えるってのは、意外だったけれど。
それに。

「あいつら、さっきから一方向を向いてて、気味悪いっすね…」

そうなんだ。それが気になる。
あいつらは、基本的に単独行動が多いんだけど、まれに群れで登場するときがある。
そんな時は、一体一体てんでばらばらに動くんだけど。
今は、どういうことなのだろうか。
みんながみんな同じ方向を向いていて、動きが少ない。

「シンタさん、やっぱりあの生き物がよく見えてますね」
「ええ。もうそりゃ困るほど…。正直、今だってちょっと怖いなって思っちゃう程っすよ。ああも同じ方向向いてるだなんてまるで奴らの巣に道案内されてるような感じがしません?」
「ええ。というか、まさにその通りだと思います」

成る程。それで同じ方向見てんのね…って。

「マジっすか!?まさか今餌時!?」
「いいえ。これも兄の仕業なんですよ。シンタさんにやったことと同じようなことをして、あの生き物達に、兄がいるとこまで案内させているんです」
「え…。ここにいる奴全部に!?」
「はい…」

…マジかよ。
あんな変な連中に言うこと聞かせられる兄って一体…。
いや。それもそうだけど。

「…あの生き物達、これからどうなるんです?」
「…え?」
「変な話ですがね。俺は治療されて元に戻ったけど、あいつらはどうなのかなーって…」
「…」

ミラちゃんからの、返事はない。
ということは、こいつらはもう…。

「…いや。こいつらに同乗してる場合じゃないっすよね。見えなけりゃいないも同然だったんす。普通見えないものに同乗しても、しょうがないっすよね!」

こんな時なのに、ミラちゃんに変な質問をしてしまった。
不安な彼女をさらに不安にさせてどうすんだ。俺。
どうにか反応をくれないかと、敢えて明るく話しかけてみたが、それでも彼女に反応はない。
ヤバい。また困らせてしまった…。

「シンタさん」
「はい?」

どうしようどうしようと思っていたら、ようやく彼女が反応をくれた。
…でも、まだ俯いているや…。

「…シンタさんて…優しいんですね」
「…え?」
「もっと早くお会いしたかったなぁって思いますよ。私」
「…ええ?」



「ああああ!熱い!熱いいぃッ!」

シンタ達が向かおうとしているラボで、リヒトは悲鳴を上げていた。
機材がどんどん熱を持ち、火を噴き始めている。
だが、これでもまだ被害が少ない方だ。プールの液体がなかったら、今頃ラボは火の海になっていたと考えていいだろう。

「畜生!M0.5(エムハーフ)!何故いうことを聞かない!機械のくせに!機械のくせにいいいいい!」

リヒトがそう叫んだ途端、ラボ内に取り付けられたスピーカーがキーンと鳴った。

『うるせえええええぇ!!』

怒り心頭、という言葉がぴったり当てはまる女の声が、スピーカーからわんわん響いてくる。
それと同時に、機材が盛大に火を噴いた。…どうやらラボの設備は、ほぼM0.5の手に落ちてしまったようだ。

「う、わぁ!」

あまりの熱さに、リヒトは怒りも忘れて、その場を逃げ出した。
だが、このラボは密閉された空間だ。
熱でイカれ、或いはM0.5の支配下にあるきざに囲まれた空間では、助けは来ない。
大人しく、蒸し焼きにされるしかない。

「うわ!うわあああああ!」

とうとうプールの液体も意味をなさなくなった。プールから抜いて放水していたが、残りが尽きたようだ。
辺りはあっという間に火の手が広がる。
そして。

「…あ、」

陽炎の向こうに、女の姿が一つあった。
初期化されたはずなのに元の姿をし、とっくにセミロングを超えた髪が、バタバタと炎の中で揺れる。
顔が綺麗な分、怒りを露わにした表情が映える。
恐ろしいが、美しい姿だった。

「…ああ…」

まるで、罪人を地獄に蹴落としに来た、天の使いのようだった。
生まれて初めて、妹以外の女性に執着を抱きそうになるほど、リヒトはM0.5に見入っていた。
こいつに殺されるならそれもいいか、と、外と内とで熱に侵され始めたリヒトは、ぼんやりとそう思い始めていた。
だが、その熱に水を差そうとするものがあった。

「…うん?」

微かに、ほんの微かに、ミシミシと天井が軋んでいるのである。
熱で天井がもろくなったのかもしれない。つぶされるくらいなら、M0.5に殺されたいな、と、リヒトは思っていたが、それにしては、どうも変だ。
天井に生じたヒビが、丸く円を描き始めたのである。
これは、一体どういうことなのか。

『馬鹿だねェ、お兄さん』

ヒビの向こうから、澄んだ男の声が聞こえてきた。
そう思った時だった。
天井が、消えたのである。
正確には、天井に一気に細かいヒビが生じ、そのヒビが、一瞬にしてただの粉末に化けたのである。
恐らくは、天井を作る前の素材だった段階に戻ってしまったのだろう。怒涛のような砂嵐が降り注いだ。
砂の嵐が止むと、何年かぶりに室内に自然の空が、頭上にあった。
日没間近の、燃えるような空だった。
その空の下には、銀色の大きな鳥と、この空の色と同じ色をした目を持つ男が一人いた。

「ふざっけんなよ!?誰の許可取って、うちのモンに手ぇ出そうとしてんだコラアアアァッ!」

訳の分からない喚き声と共に、男は丸太のようなものをリヒトに投げつけてきた。
慌ててそれを避けると、床に積もった砂が、バフンッと音を立てて宙に舞った。

「…酷いよう、あっくぅん…」

丸太が喋った。


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