2017-11

お久しぶりです!「Doll」シリーズ、最新話です!

お久しぶりです!
奥貫阿Qです!

更新が随分遅れてしまってすみません(汗)
引っ越しやらなにやらが忙しくて、今頃(しかも深夜)の更新となってしまいました…。
三月中に更新できたことを喜びたいですが、素直に喜べないペースです…。

さて。今日は「アイ兄さん一人語りの部・佳境編前編(仮)」です。
「あの時の話があんなことに…」と思っていただければ幸いです(汗)

では、短い挨拶ですが、そろそろ本編の方へ移ります。
阿Qは、明日の引っ越し準備(睡眠)です…。



「Doll⑱」
(byキリ)
「歴史の授業で習ったことないか。今とは違って、モノづくりも、物資の運搬も、更には医療にまで機械が使われた時代があるって」
「私、小学校中退だから…。でも、じいちゃんや工芸師の師匠から聞かされた」
「じゃ、話が早いや。…あいつらを、よく見てくれ」

兄さんに言われて、私は目の前で起きている戦いを見た。
…いや、そもそも戦いなのか。これは。
あっくんはあの大変化からは、何も変化はない。なのに、ミーナの周りでは火が起こって燃え盛る。そして、あっくんが物を投げたりして攻撃する度にミーナのシルエットが常に変化していった。
あっくんが大きい機械を放れば、それを粉砕する大砲の姿に。壊れた破片が降り注げば、盾の姿になった。
人としての面影はない。対戦用の兵器の集合体が、「自分はここまで対応できるんだぞ」、と、いちいち性能をチェックしているかのような、めまぐるしい変化の嵐だった。

「ミーナの変化が著しくて…もう戦いにすら見えない。機械VS人って感じ」
「今ミカはメンテの段階だからな。正常に動くのか、確認している。もっとも、あっくん以外の人間には、ああも反応しない」
「…何で」
「あっくんは、そのための存在だからさ。…いいや。そういう存在の子孫、と言うべきだろう。テストに使ってもいいように、体が頑丈に作られてる」

…何それ。
どういうことなんだろう。
あっくんは…。いや。あっくんも、誰かに造られた存在だったってことだろうか。
でも、兄さんはさっき、「厳密には人だが、純粋な人間じゃない」と言った。
あっくんは、何かのハーフということなのか?
でも、一体何の?

「普段は普通の人間だが、奴らの体内にはナノマシン、つまり、俺の体を元通りにしたものと、同じものがあるのさ。それが作用して、あっという間にああいう体に変化する訳」
「…あんま聞きたくないけどさ。あっくんて、一体何者の子孫なの?体の中にナノマシンがある生き物って、一体何?」
「単刀直入に言うと…」

アイ兄さんがそう言いかけた時だった。
ちょうどヒビが入っていた天井の残りの部分が、ガラガラと音を立てて崩れた。弟子と友の乱闘で天井に振動が走ったせいだと思ったが、それにしては土埃が凄まじい。
天井の一部分のみのものとは思えない土埃が晴れてきた。
白い天井とその上にあった土。その中に、うごうごと蠢くものがあるのが、だんだんはっきりしてきた。
蹄がある四肢。堅そうな毛。イノシシと熊のハイブリッドのようなその生き物に、私は、随分と前に植え付けられたトラウマを思い出した。

「あああああああッ!こいつ!私を襲った奴!」
「…と、同じ種類の奴の子供な。随分と小さいだろ」
「デカいよ!自転車くらいの大きさがあるよ!」
「こいつがさぁ…」
「こいつのことなんてどうでもいいよ!あっちへやって!今度こそ殺(や)られるッ!」
「だから!こいつ!見て!」

アイ兄さんは私が喚くのもお構いなしに、奴の顔を近づけてきた。
ブッサ!熊みたいな口なのに、豚みたいな鼻してやがる!

「こいつは、昔の生物兵器の生き残りっつたろ!?あっくんもそうなの!何かの生物兵器と、人間とのハイブリッド!」
「………へ?」

恐怖心なんか、どっかへ吹っ飛んだ。
フゴフゴいう不細工な鼻すらも気にならない。

「…え、何で兵器が、子供産めるの」
「生物兵器、な。あくまで生物だ。ナノマシンで、各種の生物の精子や卵子をコピー・生成して、体内で培養できる生物兵器がいたのさ。それと人間が配合されて生まれたのが、あっくん達だ」
「…何で、人間のハイブリッドがいるの」
「最初からそうだった訳じゃない。作り手が望んだ容姿・性格・体の強さを持つ人間を作る名目で、人間にナノマシンが使われたんだよ」
「…」
「いいことを教えてやろう。先の時代にゃあ、俺やミハエルのように人型のロボットのようなものが造られる会社があった、と言ったろ」
「…ン」
「造り方は割と簡単だ。まず、受精卵を用意し、それをコピーする。その後、ナノマシンで受精卵そっくりの仕組みを持つものを、受精卵と似た物質で作っていく。その過程で、受精卵もどきにナノマシンを入れるんだ。あとは、ナノマシンに細胞分裂と同じことをやらせ、生き物としての形を作らせていけば、それで完成」

兄さんは、ただ淡々と話をしているだけだった。
なのに、何故か私の頭の中には、アイ兄さん達を作る過程がどんどん展開していく。透明な丸い球に機械が近づけられ、何もない空間に、その球とまるっきり同じものが現れる場面から始まり、次々と形が変わっていく。
この光景は、私が見たことがないものだ。多分、何らかの方法を使ってアイ兄さんが、私に自分達が生まれる過程の様子を映像として送り込んできているんだ。

「…キリちゃんの頭の中に流れてる映像は、最初の工程以外は、殆ど生物の発生の仕方と変わらない。…見ついでに、この二つの映像も見てくれ」

アイ兄さんのその言葉で、私の脳内の映像が切り替わった。
透明な液体の中で、球…アイ兄さん達が造られる過程で見た、受精卵と思われるものに、針が打たれる。後は、アイ兄さん達が造られる過程とまんま同じ。
それの次に流れてきた映像は、針も機械も登場しない。さっきの二つの映像を途中から見たような展開だった。

「…これは?」
「こっちは生物兵器が造られる過程と、普通の生物が生まれるまでの過程。どうかね。この三つの映像を見比べて、何か気が付くことは?」

気が付くこと?
そんなの、決まっている。
気味が悪いほどに気付かされる。

「…造られる過程が、ほぼ同じ」
「その通り。ちなみに、容姿・性能が全く同じものを作った場合、育ってからも大差ないぜ?」
「…こんなの変だよ。ものと生き物が、全く同じ機能を備えるだなんて。これじゃあ、ものと生き物が、まるっきり同じステージに立つことになっちゃう。ものと生き物の境目が曖昧になる」
「ああ。それで、先の時代では問題が起きた。…生き物と機械の区別の問題が」



リヒトは、気絶したふりをして、アイの声を聞いていた。
静かに話すアイだったが、何せ、アイの声はよく通る。リヒトの耳にも十分彼の話す言葉が聞こえてきていた。

(…ああ。ナノマシン、か。あれで受精卵を模した人工物を作り、人工的に発生をさせていたと)

自身がミラの体を作った時とは、全く異なる過程でM0.5達が造られたことを知り、リヒトは納得する反面、深い絶望を感じていた。
ナノマシンを作るには、金がない。設備も足りない。そもそも、設備を作るための技術が、この時代にはまだない。
たとえ資金集めに成功し、技術を磨き、リヒト自身がナノマシンの製造に成功できたとしても、ミラそのものと言い切れるものがつくれるか、さっぱり分からなかった。

(俺には、M0.5が分からない。…理解しきれない)

ナノマシンは、この時代には早すぎる。
リヒト自身にはどうにもできない、ないない尽くしの研究環境であった。
認めたくはない。だが、どうしても認めなければならないことがあると、今、リヒトははっきりと感じていた。


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