2017-09

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「Doll 22㉒」

「Doll㉒ 22」
(byキリ)

まずは、ここの瓦礫を利用させてもらう。
研究資材の中でも、ひときわ頑丈そうな角材なりなんなりを、ミーナの車輪、ないし、リムっぽいとこに噛ませるのだ。
あとは。

「…力技?」
「そ。力技」
「バッカじゃねぇの!?」
「ヒィッ!?」

何で!?
何で怒るの!?
武器も何もないこの状況じゃ、もうこれっきゃないじゃん!?

「最悪、僕死にますよ!?」
「だ、大丈夫だって!またさっきの体になれば…多分」
「多分って言うな。それに、あの体は僕の意思で変身したわけじゃありませんからね?アイさんに無理やり改造されたようなもんです」
「あ、そうか…」

そういやそうだったね、と返せば、あっくんからキツめのパンチをくらった。
痛ぇよ!ったく、女に手を上げるなんて!

「てゆか、力技なら、どのみち僕だけじゃ心もとないでしょう?あいつを手伝わせましょ」
「あいつ?」
「ええ。ほら、アイ博士に情報をリークしてた、銀色のスパイですよ」
「あー」

はんはん、と、私がパンチされた頭で力なく頷くのを無視して、あっくんは妙に人懐っこそうな笑顔を、明後日の方向に向けていた。
その方向では、あの空飛ぶ銀色のスパイが、物陰に控えて待っているはずだ。
あっくんにかんじがらめに縛られた記憶がトラウマになっているのだろうか。本来の主人があんな態度をとったにも関わらず、未だにこの場に留まっていたようだ。
ほら、「ギョオー…」って力のない声も聞こえてくる。


(byシンタ)

「…何すか、あれ!?」

どれくらい離れた先にあるのだろう。
俺達が向かう方向、前方のずっと奥の開けた場所に、銀色の光が見えた。
白っぽい建物の横に、まるで、大きな星のように煌めいている…。

「シンタさん、あれ、鳥です!」
「鳥!?あんなデカい鳥がいるわけが…」

ここまで言いかけて、俺は、「あ、」とあることを思い出した。
ここに来る前、俺は確かに銀色の鳥を見かけていた。
あの時は見間違いかもしれないとも思ったけれど。

(…何だって、あの鳥が)

考えてみても、分からないものは分からないままだった。
そもそもこんな鳥、一日に二度も見ることになるなんて、思わないだろう?

「あ、シンタさん!鳥が、空に!」
「見えてるっす!フワーっと今いるとこから、風船みたいに浮かび上がりました!」
「でも何だか様子が変です!頭を下に向けて、その場からいなくなりません!」
「え?」

そりゃ確かに変だ。
ここに何があるのか知らないけど、頭を下に向けたまま、飛び去らないだなんて。
これじゃまるで、下に獲物か何かがいて、それを狙おうと身構えているみたいじゃないか。

「…まっさかねぇ…。ハハハ…」

俺が一人、乾いた笑みを浮かべるのを、ミラちゃんは不思議そうな顔で見ていた。
その瞬間だった。

「?あれ?シンタさん、鳥が…」
「へっ?」

俺がミラちゃんを見た一瞬のうちに、鳥が消えたのだ。
まるで、空気にフッと溶け込んだかのように。
だが、そう感じたのは一瞬で、俺達の耳には、男女の悲鳴が、耳に飛び込んできた。
続いて、白っぽい建物の輪郭が、まるでモザイク模様のようにぼんやりした輪郭になる。この謎の現象が起きてすぐ、ガラガラと建物が崩れるかのような音が聞こえた。
音が聞こえた時点でようやく分かった。急に建物が粉微塵に壊されたせいで、音が遅れて起こったんだ。
信じられないことだが、目の前でそれが起こっている。
ミラちゃんもそれを悟って怖がっているに違いない。

「ミ…」

横を走るミラちゃんに声を掛けようと思ったが、俺の横に、ミラちゃんの姿はなかった。

(あれ…)

どこに行ったんだと、ここまで走って、俺は初めて立ち止まった。
目に垂れる汗が邪魔だが、きょろきょろと周囲を見回す。
…うん、いた。
俺より後ろの方で立ち止まっている。
だが、様子が変だ。
遠目からでも分かるほど震え、口に手を当てている。

「ミラ…ちゃん?」

声を掛けてみても、返事はない。
代わりに、アワアワと口を動かし、目を大きく見開いて、彼女は叫んだ。

「家が…、私の家が…!」

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