2017-09

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「Doll26」

ご無沙汰しております!
奥貫阿Qです。

一月を跨いで、二月にようやく更新できました…。
びっくりするほどの鈍足更新です(汗)

ちなみに、今回で「Doll」シリーズは、26回目の更新です。「Moon King」の中では最長のシリーズとなってしまいました。
恐らく第30回まで行きそうな感じですが、物語はようやく佳境です。
ひっさびさに、本当にひっさびさに登場する人物が出てきました。
約一年ぶりのセリフありの出番なので、温かく迎えてくれるとうれしいです。

それでは、今回も「◆」の下から本文が始まります。
よろしくお願いします。



「Doll26」
(byキリ)

あっくんの一撃で、宗教画のような、神聖だけど恐ろしい風景は一瞬で消え去った。
だが、代わりに現れた風景は、まさに地獄。
血の雨が降る、地の底だ。

「ミーナ…!」
「ああ…僕の馬鹿が…」

あっくんが横で頭を抱えるが、覆水盆に返らず、だ。
この血の雨の先に、多分ミーナはいた。
そうでなきゃ、あんな声が聞こえることはなかっただろう。
あの声の後に、この血の雨。多分ミーナは、無事じゃない。
心なしか、上の光も弱まった気がする。

「何てことだ…」
「…あっくん。過ぎたことを悔やんでも、仕方がないことだよ」
「でも…」

あなたのご友人でしょう?
少しだけ顔を上げ、視線だけを私に寄越す弟子は、そう言いたげな雰囲気だ。
私だって悲しい。でも、ミーナのこれまでの、そして今やっている仕事柄、「いつか万一のことがあるかも」、と、覚悟だけはしていた。
それに何より、まだすべてが終わったわけじゃない。だから、気を抜くような感情は持てない。帰ったら思う存分悲しむつもりだけれど。

「『でも』は無しだよ。悲しむのは後」

とうとう最後まで、自分の心に気付かず仕舞いの弟子だったけど、こいつはミーナのことが好きだった。
ショックでこいつまで暴走するのだけは防がなければ、と、私はあえて彼にきつく声をかけた。
今だって、いつのまにか、心ここに在らずって顔で、上を見ているし。

「あっくん聞いてる?」
「ええ…でも、あれは?」
「へ?」

答えになってない弟子の返事に、思わずつられて、弟子の視線を追ってしまった。
一体何が…。

「…あ」

雲…さっきよりも大分光が弱まった雲から、何かが落ちてくる。
黒っぽい影にしかみえなかったそれは、近づくにつれ、だんだん形を帯びてきた。
ボロボロと何かが剥離しながら、この穴の底までまで落ちてくる。
動物?猿?いや…。

「人だ!」

あれは、まぎれもない人間の形!
ユバナとレン、ここカザミでも見ない、金に近い髪の色も見えた!

「ミーナ!」

ボロボロと剥がれていってるのは、白いムースみたいなものだった。
どうやらあの雲、気体というよりはムース状の何かが集まって出来ていたらしい。
見たところ、血も殆ど見えず、ミーナはほぼ無傷のようだ。
そんなミーナは、更に信じられないことになった。

「あっ!」
「あっくん、あれ!」

何と、空中で体勢を立て直して、そのまま地面に着地した!
よかった!ミーナは生きてる!

「でも、あのミーナ、正気なのかなぁ…」
「…さぁ」

そこだけが気がかりだった。けど、とにかく生きて帰って来てくれたのは嬉しい。
上にあった雲もだいぶ薄くなって、状況はさっきよりも遥かにいい………と、思う。多分。
ミーナはどうなったのかにもよるけれど。

「…」
「あ」

こっちを見た。
確かにミーナ、こっちを見た。
前髪で目元が隠されてるけど。

「…キリ?」
「あ、ミーナだ」

何だか久しぶりにミーナの声を聞いた気がして、驚きすぎて思いっきり普通の声が出てしまった。
でも、油断はできない。
ミーナがミーナたるか、いくつか質問をしてみなければ。

「ミーナ、あんたどうしてここへ?」
「ねちっこい変態に付け回されて、しくじった」
「何であんなに暴れまわったのさ」
「頭に血が上った感じがあった」
「いつから」
「ごめん、思い出せない」
「ちなみに、何であんたって猟師なの」
「それが家業だったから」
「あっくんのこと、どう思う?」
「クッキー作りは、上手いかな、と…。なぁ、何でこんな質問を?」

ああ、このどーでも良さげな受け答え。
前半の仕事がらみのことはしっかりした受け答えだったのに、後半の私生活の及ぶ質問では、急に喋り方がダレた。
オンとオフの切り替えが急激すぎる、この女は。

「ミーナァ!オカエリィ!」
「うわっ!何だ気持ち悪っ!」

コンマ秒で走り寄って、コンマ秒で引っぺがされた。
ああ、この友を友と思わない、ぞんざいな扱い。
まさしくミーナだ。

「このやろう!」
「イデッ!」

引っぺがされた後、地面に叩き付けられた。
何この扱い。

「いたたた…。あれ?ミーナ、雰囲気変わった?」
「まさか。…いや、何か体が変だ。違和感がある。不安だから一応聞くけど、『さっきまで培養液的なものに浸かってたり、戦闘兵器的なものに組み込まれてたから全裸な状態』ってことになってないよな、私」
「培養液は知らないけど、今は長袖長ズボンの、暑苦しいまでの完全防備だよ」

そう一日に、何人もリンゴを食う前のアダムとイブ状態になった奴らを、見たくはない。

「…てゆうか、あんた今見えてないの?」
「ああ。瞼にべっとりと、何かがついている。」
「ふーん…」

どれどれ、と、覗き込んでみると、さっきのムース状のものが、瞼にくっついていた。

「目にムースがついてるよ。取るね」
「ああ」
「あっくん、突っ立ってないで、こっちおいで。ミーナは大丈夫そうだよ」
「え?ええ…」

やったことがやったことだから、傍に行きにくいんだろう。
やや戸惑いながらも、弟子はこちらへやってきた。

「あれ、キリさん。ミカの髪の色、やけに明るくありません?」
「まさか。光の加減でしょ」
「いや。それにしても明るすぎますよ。もう完璧なブロンドに…」
「ちょっと黙って。集中できない」

弟子の声を遮って、私は手元に集中する。
案外べとついて取りにくい。
仕方がない。
私は服の汚れが少ないとこで、丁寧に瞼からムースをとってやった。

「ようやく取れたよ。…ミーナ、目を開けていいよ。ゆっくりね」
「んん」

唸るようにそう言うと、ミーナはゆっくりゆっくり目を開けていった。
そこには、見慣れたブラウンの目が、

「…え?」

なかった。
代わりにあったのは、青い目。
アイ兄さんと同じ、人工的な青色をした目だ。

「…ミーナ。目がヤバいことになってるよ。アイ兄さんと同じ色だ」
「…ああ?」
「いや、ホントだよ。視力に問題はないかもしれないけど、あんたの目の色が変わっちゃってる」
「ああ…。違和感の正体は、これか…」

随分とミーナは冷静だった。
その時、丁度太陽に雲がかかり、日の光が遮られた。
もう偽の雲も、偽の光も何もない。せいぜい穴の縁にムースが残る程度になった上空。
そんな薄暗い空間の中でも、ミーナの髪の色はやけに明るかった。

「…凄い。プラチナブロンドなんて、私初めて見たよ」
「…髪の色まで、変わってるのか」

さらさらと、やっぱり随分と冷静に、ミーナは自分の髪を梳いた。
あっくんに至っては、驚きすぎて声すら出していないのに。

「髪は予想外だったな。…目は、いつか本来の色に戻るって、知っていたけど」
「え、ミーナ昔は青い目をしてたの?」
「いや。生まれた時からブラウンだったさ。ただ、いつか自分の正体を思い出した時、本来の色に戻るってことになっていた。さっき、思い出した」
「…うん?」

今、何と?

「上から落ちている途中で、意識が戻った。その時、やっと思い出したんだ。私の正体を」
「…ミーナ…?」

ミーナ、まさかまだ、元に戻っていないのか?

「キリ、何か疑ってるでしょ」
「まあ、そんな変なことを言われちゃあね…」
「ふーん。…ま、アイのアホが、色々言ったんだな。でも、ある意味それ、間違ってるかも」
「へ?」

分からん。
立て続けに、訳が分からん。
こいつが今からヤバいことするってこと以外に、何もわからん。

「兵器が素直に役目を全うして、その場にいる人間、住む生物の状態も加味せずに戦い尽くしたら、拙いってことだよ」
「…つまり?」

ハテナマークが浮かぶ私の横で、弟子がようやく口を開いた。

「私の仕事は私自身が決める。「Doll26」
(byキリ)

あっくんの一撃で、宗教画のような、神聖だけど恐ろしい風景は一瞬で消え去った。
だが、代わりに現れた風景は、まさに地獄。
血の雨が降る、地の底だ。

「ミーナ…!」
「ああ…僕の馬鹿が…」

あっくんが横で頭を抱えるが、覆水盆に返らず、だ。
この血の雨の先に、多分ミーナはいた。
そうでなきゃ、あんな声が聞こえることはなかっただろう。
あの声の後に、この血の雨。多分ミーナは、無事じゃない。
心なしか、上の光も弱まった気がする。

「何てことだ…」
「…あっくん。過ぎたことを悔やんでも、仕方がないことだよ」
「でも…」

あなたのご友人でしょう?
少しだけ顔を上げ、視線だけを私に寄越す弟子は、そう言いたげな雰囲気だ。
私だって悲しい。でも、ミーナのこれまでの、そして今やっている仕事柄、「いつか万一のことがあるかも」、と、覚悟だけはしていた。
それに何より、まだすべてが終わったわけじゃない。だから、気を抜くような感情は持てない。帰ったら思う存分悲しむつもりだけれど。

「『でも』は無しだよ。悲しむのは後」

とうとう最後まで、自分の心に気付かず仕舞いの弟子だったけど、こいつはミーナのことが好きだった。
ショックでこいつまで暴走するのだけは防がなければ、と、私はあえて彼にきつく声をかけた。
今だって、いつのまにか、心ここに在らずって顔で、上を見ているし。

「あっくん聞いてる?」
「ええ…でも、あれは?」
「へ?」

答えになってない弟子の返事に、思わずつられて、弟子の視線を追ってしまった。
一体何が…。

「…あ」

雲…さっきよりも大分光が弱まった雲から、何かが落ちてくる。
黒っぽい影にしかみえなかったそれは、近づくにつれ、だんだん形を帯びてきた。
ボロボロと何かが剥離しながら、この穴の底までまで落ちてくる。
動物?猿?いや…。

「人だ!」

あれは、まぎれもない人間の形!
ユバナとレン、ここカザミでも見ない、金に近い髪の色も見えた!

「ミーナ!」

ボロボロと剥がれていってるのは、白いムースみたいなものだった。
どうやらあの雲、気体というよりはムース状の何かが集まって出来ていたらしい。
見たところ、血も殆ど見えず、ミーナはほぼ無傷のようだ。
そんなミーナは、更に信じられないことになった。

「あっ!」
「あっくん、あれ!」

何と、空中で体勢を立て直して、そのまま地面に着地した!
よかった!ミーナは生きてる!

「でも、あのミーナ、正気なのかなぁ…」
「…さぁ」

そこだけが気がかりだった。けど、とにかく生きて帰って来てくれたのは嬉しい。
上にあった雲もだいぶ薄くなって、状況はさっきよりも遥かにいい………と、思う。多分。
ミーナはどうなったのかにもよるけれど。

「…」
「あ」

こっちを見た。
確かにミーナ、こっちを見た。
前髪で目元が隠されてるけど。

「…キリ?」
「あ、ミーナだ」

何だか久しぶりにミーナの声を聞いた気がして、驚きすぎて思いっきり普通の声が出てしまった。
でも、油断はできない。
ミーナがミーナたるか、いくつか質問をしてみなければ。

「ミーナ、あんたどうしてここへ?」
「ねちっこい変態に付け回されて、しくじった」
「何であんなに暴れまわったのさ」
「頭に血が上った感じがあった」
「いつから」
「ごめん、思い出せない」
「ちなみに、何であんたって猟師なの」
「それが家業だったから」
「あっくんのこと、どう思う?」
「クッキー作りは、上手いかな、と…。なぁ、何でこんな質問を?」

ああ、このどーでも良さげな受け答え。
前半の仕事がらみのことはしっかりした受け答えだったのに、後半の私生活の及ぶ質問では、急に喋り方がダレた。
オンとオフの切り替えが急激すぎる、この女は。

「ミーナァ!オカエリィ!」
「うわっ!何だ気持ち悪っ!」

コンマ秒で走り寄って、コンマ秒で引っぺがされた。
ああ、この友を友と思わない、ぞんざいな扱い。
まさしくミーナだ。

「このやろう!」
「イデッ!」

引っぺがされた後、地面に叩き付けられた。
何この扱い。

「いたたた…。あれ?ミーナ、雰囲気変わった?」
「まさか。…いや、何か体が変だ。違和感がある。不安だから一応聞くけど、『さっきまで培養液的なものに浸かってたり、戦闘兵器的なものに組み込まれてたから全裸な状態』ってことになってないよな、私」
「培養液は知らないけど、今は長袖長ズボンの、暑苦しいまでの完全防備だよ」

そう一日に、何人もリンゴを食う前のアダムとイブ状態になった奴らを、見たくはない。

「…てゆうか、あんた今見えてないの?」
「ああ。瞼にべっとりと、何かがついている。」
「ふーん…」

どれどれ、と、覗き込んでみると、さっきのムース状のものが、瞼にくっついていた。

「目にムースがついてるよ。取るね」
「ああ」
「あっくん、突っ立ってないで、こっちおいで。ミーナは大丈夫そうだよ」
「え?ええ…」

やったことがやったことだから、傍に行きにくいんだろう。
やや戸惑いながらも、弟子はこちらへやってきた。

「あれ、キリさん。ミカの髪の色、やけに明るくありません?」
「まさか。光の加減でしょ」
「いや。それにしても明るすぎますよ。もう完璧なブロンドに…」
「ちょっと黙って。集中できない」

弟子の声を遮って、私は手元に集中する。
案外べとついて取りにくい。
仕方がない。
私は服の汚れが少ないとこで、丁寧に瞼からムースをとってやった。

「ようやく取れたよ。…ミーナ、目を開けていいよ。ゆっくりね」
「んん」

唸るようにそう言うと、ミーナはゆっくりゆっくり目を開けていった。
そこには、見慣れたブラウンの目が、

「…え?」

なかった。
代わりにあったのは、青い目。
アイ兄さんと同じ、人工的な青色をした目だ。

「…ミーナ。目がヤバいことになってるよ。アイ兄さんと同じ色だ」
「…ああ?」
「いや、ホントだよ。視力に問題はないかもしれないけど、あんたの目の色が変わっちゃってる」
「ああ…。違和感の正体は、これか…」

随分とミーナは冷静だった。
その時、丁度太陽に雲がかかり、日の光が遮られた。
もう偽の雲も、偽の光も何もない。せいぜい穴の縁にムースが残る程度になった上空。
そんな薄暗い空間の中でも、ミーナの髪の色はやけに明るかった。

「…凄い。プラチナブロンドなんて、私初めて見たよ」
「…髪の色まで、変わってるのか」

さらさらと、やっぱり随分と冷静に、ミーナは自分の髪を梳いた。
あっくんに至っては、驚きすぎて声すら出していないのに。

「髪は予想外だったな。…目は、いつか本来の色に戻るって、知っていたけど」
「え、ミーナ昔は青い目をしてたの?」
「いや。生まれた時からブラウンだったさ。ただ、いつか自分の正体を思い出した時、本来の色に戻るってことになっていた。さっき、思い出した」
「…うん?」

今、何と?

「上から落ちている途中で、意識が戻った。その時、やっと思い出したんだ。私の正体を」
「…ミーナ…?」

ミーナ、まさかまだ、元に戻っていないのか?

「キリ、何か疑ってるでしょ」
「まあ、そんな変なことを言われちゃあね…」
「ふーん。…ま、アイのアホが、色々言ったんだな。でも、ある意味それ、間違ってるかも」
「へ?」

分からん。
立て続けに、訳が分からん。
こいつが今からヤバいことするってこと以外に、何もわからん。

「兵器が素直に役目を全うして、その場にいる人間、住む生物の状態も加味せずに戦い尽くしたら、拙いってことだよ」
「…つまり?」

ハテナマークが浮かぶ私の横で、弟子がようやく口を開いた。

「私の仕事は私自身が決める。元々のプログラムなんて、どうとでも変わるんだから」



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